以上です。
山田寛(議長) どうもありがとうございました。
それでは、軍事評論家の江畑謙介さん、お願いします。
5. コメント:江畑謙介 ジェーンズ・ディフェンス・ウィークリー日本通信員
江畑謙介 こういう場では、なるべく現実的でかつ建設的及び具体的な提案や発言をしたいとはいつも心がけているんですが、既にほとんどのところが岡崎大使、太田大使、秋山事務次官に言われてしまいましたので、1点に絞って提言をしてみたいと思います。
まず、基本的な認識は皆さんがお話しになったのと同じです。当面、予見できる将来において、アメリカの圧倒的な優位、これは経済、軍事、あらゆる面において揺るがない。しかも、日本とアメリカは、これも経済及び政治システムなどの多くに共通性があって、またお互い利益に共通するところが多いのですから、まず基本的に日米関係をしっかりしていくほかに選択肢はないだろうと思います。
それから第2番目に考えなければいけない条件は、冷戦後、世界では各国がおのおの独自の役割を果たすべきだと考えるようになってきた点です。先ほども出ましたが、アーミテージ元国防次官補を中心とするグループが日米同盟の強化だけではなくて、ここから先がちょっと検討に値するところなんですが、アメリカとイギリスの同盟関係のような関係を日米関係で築けという提言をしております。それは私は不可能だと思う。やはり血は水より濃いのであって、同レベルのものを求めるということは、単に日本には機密保護法のようなものがないという政治システム上の問題だけではなくて、民族や歴史からいっても多分それは無理だと思います。そういう点から、太田大使が先ほど指摘されましたように、やはり日本は欧米とは違うところがあるという点をまず踏まえて、ではどうするかという具体策を考えたときに、やはり日本は地域大国が現実的でないかと思います。先ほど、ブレジンスキー氏が日本は地域大国じゃなく世界大国になれと言われたという紹介がありましたが、これは私が思うに無理であって、政治面まで含めますと、やはりアジアというものをまず考えなければならない。