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これをまとめ上げて共同戦線をつくったのが99年の夏です。それで完全な共同戦線ができまして、北朝鮮はおりました。これはアメリカ外交の大成功です。ただ、ペリーさん自身、私に話してくれましたけど、米朝合意というようなものはいつ崩れるか全然わからないと。だけど、この過程でできた日・米・韓の3国の協調体制というのは、これは歴史的なものであると。これはほんとにそうです。そんなものはなかったですから。

その間、今度、金大中という人が98年の10月に訪日しまして、それ以来、非常な日本との友好政策を推し進めまして、安全保障協力もやる。99年の夏には日・韓の共同の海軍訓練をやっていました、済州島の沖で。これも歴史的です。集団的自衛権の行使という問題があるものですから、共同演習というと集団的自衛権の行使になるんですね。ですから、共同訓練なんですけどね。目的も、海難救助、おぼれた人を救うのに決めておりますけれども、実際は、我がほうからイージス艦と護衛艦が出て、向こうから向こうが持っている一番最新・最大の広開土大王号というのが来まして、済州島で演習じゃなしに訓練して、建前はおぼれた人を救っているというんですけど、そうは思わないですよね、北朝鮮は。これはほんとうに初めてなんです。

ちょうどその99年の国会で例のガイドラインが通りまして、ガイドラインというのは、あれはつくった人がみんな言うのは、いざというとき役に立たないだろうと。ところが、にもかかわらず、あれが非常に成功であるという意味は、それまでは、冷戦が終わってから「日米同盟なんか要らないんじゃないか」と、そういう議論が非常に強く、アメリカでも強かった。アメリカでは、ナイ報告が出るまでは「もうやめてしまえ」という議論があったんですからね。それから、中国は、ほんとうにガイドライン法案が通るまでは「日米同盟は古いんだ、あれはやめろ」と、これは繰り返し繰り返し言っておりました。ところが、あれをつくって、今後とも日本もアメリカもアジア政策の中心は日米同盟に置くんだということを内外に宣明したんですね。これは非常に大きな政治的効果だと思います。

その2つがあった上で、これで21世紀に入るわけでございますから、これは、戦後50年間、何となくふわふわやっていたことに比べますと、かなり進歩した形でもって、日米同盟を強化した形でもって21世紀に入れると思います。

あとの課題は、この日米同盟をいかに強化するかという問題なんです。これは今度のブッシュ政権ですね、ブッシュさんが当選したその日に、ブッシュさん、コリン・パウエルが記者会見しておりまして、今後のアメリカの外交政策は同盟国との関係を中心にやるんだと。

 

 

 

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