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日本がどんな外交をしようと、どんなに援助をしようと、何をしようと、第七艦隊が守れなかったら守れません。それでまた、第七艦隊が健全なら、それで日米同盟は信頼関係さえあれば、やっぱり日本のシーレーンというのは安全だ。これは厳然たる事実なんですね。ですから政策論としては、日本の外交力というものは、特に最近、インドネシアとかあの辺で領海の立ち入り制限の動きが非常に強くなっておりまして、そういうことがないように航海の自由を守ると。航海の自由といっても、日本の利益から狭く言ってしまえば、具体的には、アメリカの第七艦隊がシーレーンを守れるような便宜をいつも保っておくということなんですね。そのために協力すると。

日本の海軍というのは相当な能力を持っておりますから、特に対潜能力、これは非常に強い能力を持っておりますし、それから駆逐艦でもおそらく第七艦隊よりも日本の駆逐艦の数のほうが多いんだろうと思います。日本とアメリカが協力して、少なくとも西太平洋とインド洋のシーレーンは守れるようになると、これならば日本のシーレーン防衛というのは完全になるわけなんです。おそらくすべてのことはそこに集約されるんだろうと思います。

そこで、残りがあと7分ございますので、あとは世界秩序と地域秩序、特に日米同盟を中心として今どういう状況になってきたか、今後どういう問題があるかということをちょっと簡単にお話ししたいと思います。

状況は、ここ2年ぐらい大変よくなっております。1つは、日・米・韓の協力体制というのができたんですね。これは50年間なかったことなんです。どうしてそういうのができたかというと、それはこの本にも書いてございますけれども、アメリカと北朝鮮が核とミサイルの交渉をやったんですね。これは1998年の暮れから99年の夏までです。その間、ペリーさんが交渉したんですけど、ペリーさんが大原則をつくりまして、日・米・韓の足並みを決して乱しちゃいけないと。東京にも何度も来ましたし、ソウルにも何度も行ったし、ワシントンにも呼び集めたりして、これは繰り返し繰り返しやっておりました。そのときの日本代表が加藤良三です。

これは極めて難交渉だったんですね。北朝鮮はミサイルを自制しなきゃいけないという約束は何にもないですし、それから、テポドンに対する日本の立場、韓国の立場、アメリカの立場、これはばらばらだったんですね。

 

 

 

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