以来、海を制する者は世界を制するんだと。戦後は、航空機が発達したりして、それからミサイルが飛んできたりして、必ずしも海だけではないんじゃないかと、そういう感じがいたしますけれども、しかし、これは基本的にはどうもそういうことのようでございます。
日本は海洋国家であることは間違いないんです。周りが全部海でございますから。例えば冷戦の真っ最中に、1980年代の初めのころでございますけれども、ドイツの陸軍参謀総長が日本に参りまして、日本を視察して言った結論が、「日本の地理的環境は100個師団に値する」と、そう言っておられました。それは当然そうなんです。冷戦のころは、戦争が始まった途端にオーデル・ナイセ線から40個師団が攻めてくる。1週間してもう30個師団、それから1ヵ月してもう30個師団、100個師団攻めてくるんですね。ところが、日本の場合は、揚陸能力、最大限3個師団と言われましたですね。あるいは1個師団かもしれません。そうすると、その差はおそらく100個師団あるわけですね。その意味でやはり、日本が海洋国家だということは、航空機とかそういうのが発達してもあまり変わらないかもしれないですね。それから資源にしても、いろんなものがどんどん飛行機で来ますけど、やはり鉄とか鉄鉱石とか石炭とか、特に食糧ですね、これはちょっと空輸だけというわけにまいりませんですから、やっぱりシーレーンとか海洋国家、それは基本的な話かと思います。
それで、前から日米同盟を正当化する理由に、アメリカも海洋国家で日本も海洋国家であると。だから共通の利益だと、そういう議論は前からされていたんです。日本は大陸の国と組んじゃいけないと。海洋の国と組んでいればいいんだと。これが歴史的には間違いないんです。歴史的には、日本という国が最も安全で繁栄して自由だったのは、日英同盟の20年間、それから戦後の日米同盟の50年間、これは歴史的には間違いない事実なんですね。また、日英同盟の場合は、これは見ていれば明らかでありまして、当時、飛行機なんかない時代ですから、日本とイギリスという世界最強の海軍国が2つで同盟を結んでいるわけですから、これは危ないことは何にもないですね。これは日本の安全は100%守られていた。それで、世界の資源に対するアクセスも保障されたと。それで、人間、安全で繁栄していれば自由が欲しくなりますから、それで大正デモクラシーも生まれたと。日本の戦後の民主主義も生まれたと。これも歴史的事実であろうと思います。
ただ、私は前から、それだけではちょっと何となく説明つかない気がしまして、それなら、例えばソ連海軍なんていうのは一時はアメリカをしのぐ勢いだった。