第5部 セッションII「世界秩序と地域秩序」
事務局 それでは、時間になりましたので、午後のセッションを再開したいと思います。
午後は「世界秩序と地域秩序」というテーマとなります。
それでは、山田議長、お願いいたします。
1. 議長挨拶:山田寛 読売新聞社調査研究本部主任研究員
山田寛(議長) それでは、ただいまから海洋国家セミナー第3期円卓報告討論会の午後のセッション、「世界秩序と地域秩序」、それをメインテーマとして始めさせていただきます。
これから基調報告、それからパネルディスカッションがあるのに、議長が長々としゃべる必要は全くないので、遠慮いたしますけれど、とにかく、当然かもしれないんですけれども、今、ODAを減らそうという声が永田町でも国民の間でも次第に増えつつある。そういうような中で、去年の会議、それから去年から今年にかけての1年間の討論でも随分出たんですけれども、やはりODAだけが外交の最大の切り札であるというのはもう無理なので、いろんな力を使って日本がイニシアチブを出していこう。できたらリーダーシップをとっていこうと。それで世界秩序、地域秩序、そこに日本が大きな貢献をしていこうというのがずっと出た話なんですが、じゃあ、それでどういうほかの力か。いろんな力がある。
その中で、例えばアイデアの力、コミュニケーションの力、去年、田中明彦東大教授がワードポリティクス(言力政治)と言っていました。彼はその後、本もお書きになったようですけれど、つまり、そうしたいろんな力を使っていこうというわけなんですが、それを考えても、必ずしも今の状況というのは楽観できないのではないかという感じを僕は持っています。例えば現在の総理大臣、いろんなところに―アフリカにも行かれた、ダボスにも行かれた。その前にシンガポールのASEANの拡大首脳会議で、経済だけでなく政治や安全保障の問題もアジアの首脳間で話し合えるようにしようというふうな提案をされた。