主旨は東先生と同様で、要するに日本人というのは、正論というべき課題に関して総論は賛成なのですが、各論になると反対と申しましょうか、自分達で痛みを負ってでも、この社会をこういう方向に持っていきましょうとか、理想を実現して行きましょうとかいった姿勢が、なかなか見られない。ただこれは私ども政治家から国民の方々へ、日本は今これだけの難題を抱えていて、それを解決するためにはこのような方法が有り、ついてはこれだけの期間これだけの我慢をして下されば、これだけ状況は好転しますという説明責任を、十分に果たしていない点にも問題があるかもしれませんが。いずれにしましてもそのような問題がありまして、さきほど言葉足らずではございましたが、一つの具体例としてIT化時代における雇用の流動化の必要性と難しさを紹介させて頂いたわけです。国民の皆さんが日本のIT化どんどんやれとおっしゃる。ならば雇用についても、配置転換を受け入れてください、ある一定期間のリストラは我々政治家がセイフティネットを用意しますので我慢してくださいと有権者の前で口にした途端、恐らくその政治家は次回の選挙で二度と政界に戻ってこられないというのが、悲しいかな日本の現実なんです。政治家が国家をあるべき姿に導いてゆくためには、国民お一人お一人がどういう責任を自分が果たし、痛みを負わなければそれが実現しないかを、イマジネーションを働かせて理解して頂き、自覚して頂かないと、海洋国家も何も始まらないのです。
ちょっと違う方向に話を持っていってしまいましたが、申し訳ありませんでした。
伊藤憲一(議長) 私、司会者として、とんでもない時計の読み間違いをしておりまして、私、何か、まだ1時間ぐらいあるつもりで司会しておりましたら、予定の12時半をもう過ぎているという注意をいま事務局から受けまして、大変申しわけございません。
茂木さん、午後のセッション、ご出席になりますか。あ、ならない。じゃあ、ほんとの一言でお願いします。その後、石井さん2分くらいで。
茂木賢三郎 申しわけありません。茂木賢三郎でございます。
伊藤憲一(議長) 茂木さんはキッコーマンの専務でございます。
茂木賢三郎 海洋国家とか大陸国家ということがどう定義されるのか。それからまた、その定義がどういう意味を持つのかなということは、もう一つ、私は理解ができていないような気がするんです。きょうの「世界秩序と地域秩序」という全体のテーマを拝見しますと、結局、基本的な問題は、原則論を振り回すようで恐縮でありますけれども、今、またこれから世界の中で60億、その人間がまた増えつつあるわけでありますが、その世界の中で、人類社会がどう生きていけるのか、あるいは生きていくべきなのかという基本的な問題ではないかという気がしているんです。