ちょっと意味が違うかわかりませんけれども、問題はそうではなくて、やっぱりそれを選んでいる国民にあるんですよ。そしてまた民間に多分問題があるんだろうと思うんですね。国のありようという側面から考えた場合は、戦略的なリーダーを必要とすると言っていながら、そのリーダーが出てくると、足を引っ張ってしまうというのも日本の国のありようなんだろうというふうに思うんですけれども、そこに多分、問題があるんだろうと。
ところで、僕、質問したかったんです。森本先生と、それから石井先生に。森本先生は、僕、いろんな本を読まさせていただいて、カルタゴの本も読まさせていただき、すごく示唆的であります。また、きょうのお話を聞いていても示唆的なんですけれども、今の日本というのを、どういうふうにとらえているのかと。世界190前後ある国の中で、日本という位置づけはどこにあるのかと。本当にリーディング・ネーションになると先生は思われているのか、どういうふうに位置づけられているのか。石井先生にもお尋ねしたいと思っていたんですが。日本というのは、190カ国の中でどのように位置づけられているのかと。世界の、まさにリーダーとなった国と同じような延長線でとらえているのか、その辺のことがちょっとクリアでなかったので、教えていただければと。それは後からで結構でございますが。
伊藤憲一(議長) どうもありがとうございます。
今の東さんの話を聞いていて、確かに日本には戦略的方向性がないんですね。それで、政治家が悪いんだけれども、しかし、東さんおっしゃったように、そういう政治家を選ぶ日本の選挙民、国民が私はやっばり最大の問題だと思うんです。日本の選挙民、国民がなぜそうなのかというと、日本の選挙民、国民って、あんまり日本の戦略性的方向性なんて日ごろ考えていないんですね。ですから、選挙のときの投票行動が、そういう日本のあるべき姿というイメージを有権者が持っていて、それに合う政治家を選ぶというよりも、その直前の新聞報道で悪者と善人とがいて、善人のほうに投票するというだけのような反応があるためじゃないか。だから、もう少しさかのぼって、市民の間で、我々有権者の間で、公共的な問題について議論をするということが非常に大切じゃないか、と思うわけです。実は手前みそになりますが、日本国際フォーラムは、そういう議論をぜひ皆さんとともに広めたいという思いでやっているわけですが、本日の議論も、実はその一環のつもりなわけでございます。