今のこういう観測活動、あるいは地球の研究というものは、科学面への貢献はもちろんですが、現在の国際政治にも非常に影響力があるわけです。例えばフロンの規制というのは、日本の南極観測でオゾン層が減っているという発見が端緒になったわけです。ただ、残念ながら、我が国はその次のステップをフォローできなかったということで、これは欧米の研究者などがフロンとオゾンの関係というものを論文にまとめて、これがイギリスの有名な科学誌『NATURE』に載って、そこから事が始まったわけで、これが1982年のことです。それでフロン規制の国際取極めであるモントリオールの議定書ができたのが、その5年後ですから、研究の端緒からフロンの規制に至るまで、そんな短い期間にこういうものが進んだということです。
今、炭酸ガスの問題も同じでございますけれども、これもこの間の国連のIPCCの取りまとめた結果によりますと、また温暖化の予測が非常に厳しい方向に改訂されたわけですけれども、こういうことについても、いまだ正確に科学的にこれだというものがなくて、いろんなモデルを検討して、言うならば、この辺ぐらいかというようなことで予測を出しているのが世界の実情なわけです。日本の研究といいますか、日本の科学者が、より正確な予測をするために積極的に貢献していこうというのが、今、日本の海洋を中心とした地球変動の研究の進め方であるということをご報告申し上げておきます。
伊藤憲一(議長) どうもありがとうございました。
それでは、これで一応パネリストの方々からのコメントをいただきましたので、次の自由討論に入る前にコーヒーブレイクですか。
事務局 コーヒーブレイクをただいまから11時45分まで、15分間ブレイクとさせていただきたいと思います。
コーヒー・ブレイク
9. 自由討論:パネリスト全員
伊藤憲一(議長) それでは、コーヒーブレイクを終わったところで、またセッションを再開いたしたいと思います。