そしてこの“揺らぎ”を吸収していると言いましょうか、許容している一番象徴的な存在が「憲法」でありまして、これだけ条文に書いてあることと、現実が乖離している国は他に無いでしょう。とにかく自衛隊の存在でも、私立学校への助成でも、なんでもかんでも拡大解釈で凌いでしまう。ここまで来ると、もう驚きを通り越して、すごいなあと感嘆してしまいます。あっ、ただ私自身は拡大解釈ではなく、憲法は抜本的に改正すべきと考えていますが。それはそれとして、やはり世界のリーダーの一国になっている日本が、物理的にしろサイバーにしろ大海原を乗り越えていくためには、この特異な日本らしさ、強みを日本人は自覚して、グローバル化時代をサバイバルして行く上でこの要素をむしろ積極的に役立てて行かねばならない。また世界へ貢献するためにも、活用して行かねばならないと考えております。
ただそうは申しましても、私自身国会議員という仕事柄つねづね非常に危うく思いますのは、昨今の日本の“揺らぎ”方というのは、いかにも度を越しているのではないか。なまじ“揺らぎ”を吸収できる、許容できるシステムを持っている余り、いくら揺らいでも耐えられると過信し過ぎていて、このまま行くと、「iモード栄えて、日本滅ぶ」ということにもなりかねないという危惧さえ抱きます。どういうふうにこのバランスを取って、今後、戦略的にグローバル化の海を進んでゆくのか、政治を含め、各界のリーダーの方々にご論議を頂かなければならない問題だと思います。
伊藤憲一(議長) どうもありがとうございました。
確かに、ただ21世紀に世紀が変わったということだけではなくて、日本はいろんな意味で、今大きな転換期にあることだけは確かではないかと思います。きょうの議論を通じて、その転換期において、海洋国家日本の進むべき方向についての考え方のようなものを、さらに確かめることができれば幸いだと思っております。
最後になりましたが、海洋科学技術センター理事長として、文字どおり海洋科学の最先端におられます平野さんにお願いいたします。平野さん、よろしく。