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結構勉強していたんですけれどもわからないんです。なぜわからないかといえば、言いわけじゃなくて、本質的にそういう時代だということを申し上げたいと思います。

それは62ページにも書いてございますけれども、「はじめに」ということで、もとの原稿では「2つの海」というふうに副題をつけておいたのが、なくなっているのですが。

ともかく、海というと、今おっしゃいました物理的な海というのが1つございますけれども、情報の世界での海という見方があります。要するに、リアルとバーチャルの対比でいいますと、バーチャルの海というのが、多分、未来において非常に重要な意味を持っている。そこで2つということでございます。この2つは、実はほんとうは1つのものが、物理的な海という概念に投影されたり、あるいはバーチャルな、今で言えばインターネットみたいな世界に投影されたり、その両方の投影成分があるわけであります。

ITがない海というのは、もう今、考えられないわけですね。海の上でいっぱい通信をしたり、例えばGPSで場所がわかったりですね。飛行機もそうかもしれません。ニアミスが起こっていますけど、あれも完全に通信によって。要するに、飛行機が飛んでいるのは通信で飛んでいる。通信なしで勝手に飛ぶということは事実上できません。そういうことは一体と考えなくちゃいけないということでございます。

海というのを、そういうふうにバーチャルまで入れて、リアルな海とバーチャルな海両方を考えていくというのが1つの将来の考えでありまして、こういうことに対する理論的なバックアップというのは、最近、複雑系という、新しい(大体1970年後半ぐらいから起こってきた)考え方がございます。今までは複雑系じゃない考え方で、特に技術の世界ではやってきたわけであります。

実は、そういう意味でいいますと、複雑系を背景にしたインターネットのような新しいネットワークの海が、ここにも来ているわけです。多分、6月8日のときは、僕はこのiモードを持っていなかったと思うんですが、今は持っているわけです。もう、ここにさっきからメールが何回か入っているわけです。僕もそれを返信しているわけです。だから、ここにはバーチャルの海はもう来ているんですね。これは半年で変わったわけです。こんなiモード利用者が増えている。それも何千万も、さっき予想を狂わしちゃった僕自身も今やこの海がなかったら困る、そういう意味じゃバーチャルな海洋民族に陸の上でもなっているわけであります。

この辺の競争が、今、猛烈に起こっております。例えば、このiモードというのは日本だけと言っていいぐらいの現象でございまして、ほかの国では、まだあまり始まっていません。

 

 

 

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