「海洋国家」というと、文明的、歴史的にミノア文明から始まって、我々、一定のイメージを持っているわけですが、この「海洋国家」という言葉の内容も、時代の変化、進歩に合わせて急速に変わってきているわけで、特に、運輸・通信手段の劇的な発展の中で、「海洋国家」ということの本質は、もはや必ずしも「物理的な海」とだけ直結して考えるのではなくて、IT革命時代の「情報革命の海」の中での「海洋国家」というような考え方も将来において必要になるんじゃないか。そういう観点から、石井さんからは、歴史と未来のうちの未来の部分について語っていただければありがたいと思っている次第でございます。
それでは、石井さん、お願いいたします。
3. 基調報告:石井威望 東京大学名誉教授
石井威望 それでは、お手元のこの書物の7ページをお開きいただきたいと思います。
7ページで、私が第2回で話したという記録がここにございますけれども、第2回というのは、6ページに書いてありますように、昨年の6月8日でございます。約半年過去でございますから、それが書物になりまして、皆さんのお手元に広がるというのは、プリントメディアの時代ですと、まあまあ普通のスピードかもしれませんけど、今、私は非常に困っているわけであります。
例えば63ページをあけていただきましょうか。63ページの一番左、最後の行でございますけれども、700万台を1年余りで達成したと。この700万台というのはiモード。iモードの普及台数でございますが、6月8日には、これが700万台だったんです。ところが今は、12月末の統計で見ますと1,700何十万台ございます。それ以後1ヵ月たっていますから、おそらくさらに百何十万台か増えております。全く僕のこの記述は、内心じくじたるものがあるわけでありまして、これプラス千何百万台増えているわけであります。だから2倍どころじゃなくて、もっと大きい。ITの衝撃ということがあるとすれば、iモードに関しましては、そういうことでございます。ですから、きょう申し上げることも、有効期間はせいぜい3ヵ月か6ヵ月というふうにお考えいただきまして、あとは責任持てない。