どうも時間が超過して申しわけございませんでした。何せ短い時間ですから、何千年にもわたる世界史を10分や15分では到底話しつくせないことが残念です。残りは私の報告を読んでいただければと思っております。どうも失礼いたしました。
伊藤憲一(議長) 森本さん、どうもありがとうございました。「海洋国家:歴史と未来」ということで、それこそ世界史の2,000年分、5,000年分を20分間で話していただいたわけでございますが、私もお話を伺いながら感じていたことですが、確かに国々を見ると海洋性の国家と大陸性の国家がありますが、大陸性の国家はどちらかというと専制主義、独裁主義の傾向があり、これに対して海洋性の国家というのは自由主義、リベラリズムの傾向があるんじゃないかと思うんです。そういう中で世界史を見てみると、大陸は権謀術数、治乱興亡の世界ですが、その中で覇者があらわれて、大陸をそういう独裁的な権力で統一・統合しようとする。しかし、そのような状態になると、例えばナポレオン、あるいは第1次大戦、第2次大戦のドイツ、そして冷戦時代のソ連がヨーロッパあるいはユーラシア大陸を制服しようとする。そういうとき敢然としてこれを阻止してきたのが海洋性の国家であったのではないか。そのときに私は、ポイントは、海洋性の国家というのは同盟を形成して、同盟国の力を合わせて立ち上がるということだと思うんですね。ナポレオンに対する反仏大同盟というのは何回も何回も結成されて、最後にワーテルローでナポレオンを下したわけですし、第1次大戦のときのイギリス、フランス、日本なんかも加わった、最後にアメリカも加わった同盟というのがドイツを下したわけですし、第2次大戦も、このときは日独伊ということで、日本は大陸国家と手を組んじゃったわけですが、それに対しては、アメリカ、イギリスなどのいわゆる連合国が勝利しているわけですし、冷戦時代も振り返ってみると、ソ連という大陸国家が専制的な支配を広げようとしたのに対して、西ではNATO、東では日米同盟という同盟が立ち上がって、これを阻止したということではないかと思うわけで、このことは、今後の日本の将来を考えるときに重要だと思うのです。日本は近隣にロシアとか中国という大陸性の国を持っているわけですが、これとのかかわりにおいて、やはり海洋国家の同盟というものを重視することが、日本のためにも、地域、世界のためにも重要なんだというヒントを与えているのではないかと、そんなふうに、私、森本さんのお話を伺いながら考えていた次第でございます。この後、コメンテーターの間の自由討論などで、さらにその点を議論してみたいと思っております。
では、続きまして、石井さんに「情報革命時代の海洋国家構想」というテーマで20分ほどプレゼンテーションをお願いしたいと思います。