やはり日本は何ものであり、どこに位置しているのかということを確認しないと、何をすべきか、どの方向に進んでいくかという議論が出てこないのじゃないかということでやった議論でございます。「西洋でも東洋でもない日本」という結論になったわけでございます。それを受けて2年目の昨年度は、「21世紀日本の大戦略」ということを議論いたしました。これは内に閉じこもる「島国」ではなくて、外に向かって開かれた「海洋国家」にならなきゃならないと、こういう基本的な方向を打ち出したわけでございます。これを受けまして、本年度の1年間議論してまいりましたのが、「海洋国家日本の構想」でございます。
『海洋国家日本の構想』というのは、亡くなられた国際政治学者の高坂正堯さんがまだ若かったころに書いた本の名前でございまして、当時、30年以上昔のことですが、大変大きな話題を呼び、今日でもまだ読み継がれている本でございますが、その高坂さんの本と全く同じ題名で、30年後に問題を提起させていただく形になったのが、今年1年間の議論でございました。今年の議論に参加した主要なメンバーは、本日、あるいは基調報告者として、あるいはコメンテーターとしてこの円卓報告討論会に参加してくださっておられる皆様でございます。世界秩序、あるいは地域秩序という秩序の形成に日本は積極的にかかわっていくべきであり、貢献すべきであり、それが「海洋国家日本の構想」であるという結論になったと、私は理解しておる次第でございます。その具体的な中身につきましては、本日、丸一日、ぜひおつき合いいただきまして、その中でこの1年間、「自由討論会合」というのを4回やってきたわけでございますが、その4回のテーマを圧縮いたしまして、本日の皆様のご参加を得た、この円卓報告討論会で再現するとともに、さらに発展させてみたいと思っている次第でございます。
それでは、これ以上貴重な時間をとることは避けたいと思いますので、お手元のプログラムの進行に従いまして、本日の円卓報告討論会を開始させていただきたいと思います。
事務局 それでは、これから議論を始めさせていただきますが、パネリストの皆様にあらかじめお願いがございます。基調報告は各20分となっておりますが、18分たったところで事務局のほうでベルを鳴らしますので、ベルが鳴りましたら、議論のほうをおまとめいただきますようお願いします。続けて、コメントは5分間でございますが、1分前の4分になりましたらベルを鳴らしますので、こちらのほうも5分以内でお願いいたします。