トルコは、海洋国家というよりは大陸の中にあるわけですけれども、いろいろな意味で、日本と共通点があると思います。まず、ボスポラス海峡によって東と西、アジアとヨーロッパの両方に位置する。みずからのアイデンティティをいつも探し求めている。ガストアルバイターという形で労働者をドイツなどに送り出し、かつてオスマントルコ帝国を築きながらも、ヨーロッパに対するインフェリオリティーがある。日本もトルコも共通するのは、偉大な文化を有し、いろいろな意味で大国を築いてきたがゆえに、かえって内向的になった。外国語に対するひがみや内向性を持っている。それが外に対してのプレゼンテーションや、意思の疎通を欠く潜在的な原因ではないか。
今月号の『諸君』にたしか五百旗頭さんなどが、外務大臣くらいは英語をしゃべる人にせよという記事がありました。1億2,000万人すべてが英語をしゃべる必然性はないと思うのですけれども、少なくとも政治の場にいる人間は、まずTOEICとかTOEFLとかの基準に達しなければなれないとしたらどうでしょう。だれもいなくなっちゃうのかもしれませんが。有権者もエッセンシャルなこととして考えるぐらいの気持ちになっていただきたい。
ただ、最近、新人の議員が入ってこられるのを見て、うん、悪くはないなと思っています。留学していたから偉いとか、留学していたから語学ができるということではありませんけれども、道具としての語学を学んで、そして自由に使える、そして、対外的におっくうにならない新人類たちがかなり増えてきています。政治の質も、また政治がいろいろ国民の期待にこたえる上で、おもしろい人材が出てきたということで、非常に楽しみだなと思っているわけです。
伊藤憲一(進行司会者) どうもありがとうございました。
それでは、秋元さん、あまり時間がないので一言でお願いします。
秋元一峰 太田先生の言われました、「非欧米型の自力近代化を成し遂げた国、日本」、その起点は明治維新にあったと思います。日本が海外に出ていった歴史は何度かあって、白村江の戦い、秀吉の朝鮮出兵、明治維新、そして太平洋戦争もそうでしょう。海外進出の後、島国に戻ることなく、そのまま雄々しく海に出ていったのは明治維新でした。そこに海洋国家日本、つまり、欧米と共通点を持ちながらしかも非欧米型の近代化国家日本、を作り出した原点があると思うのです。