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これまでも去年も、おととしも、日本というのはそういった意味ではベストテンに首相が入ったことがないのです。つまり、さっき秋山さんが海洋法の問題で言われたように、よっぽどマレーシアやフィリピンのほうが考えている。これは海洋法だけではなくて、あらゆるアジアのことをマレーシアやフィリピンのほうが考えているのではないかという印象があるのです。日本は何を考えているのだろうという印象があるから、いつも日本の首相がベストテンに入れないでベストトウェンティーと。特に東ティモール、PKOの問題、何にしても、そういうふうなところで太田大使の言われた、東アジアに開かれた多元的国際システムのための努力を僕はぜひ心から推したいと思います。

伊藤憲一(進行司会者) どうもありがとうございました。

それでは、小池さん、お願いします。

小池百合子 せっかく日本が最初にアジアの通貨基金の話を言い出したり、G5を橋本登美三郎さんが言い出したり、日本は発想はあるんだけれども、それが全然実っていないというお話がございました。もちろん憲法の制約やいろいろな諸問題はあると思うのですが、単純化すれば、プレゼンテーションの問題に集約されるように思います。それも共通の言語すなわち、英語でのプレゼンテーション、その度胸と技術が伴っていないことに帰結するのではないかなと思います。

先日、NHKで、ルノーから社長を迎え入れて、企業内が英語文化しつつある日産のケースをとりあげていました。それまで能力を発揮していた人が、英語の会議になると全然黙っちゃって、能力を発揮するなどという話までもいかないわけです。ですから、極めて単純な話として、私は、先ほど櫻田さんがおっしゃった道具としての英語の必要性を感じています。その道具でさえ使いこなせないことが問題であるとつくづく感じます。

私もどちらかというと国際派を自称していますが、いろいろな国際会議、ダボスを含めて参りますけれども、結局のところおっくうになります。外国の政治家のスピーチは最初ジョークで入るのに、日本の政治家は最初からエクスキューズ「私は英語が話せなくてごめんなさい」といったこと、まさに技術とセンスの問題、その2つが日本人には欠けていると思うのです。

日本みたいにこれだけ英語の教科書、参考書が売れ、これだけ英会話学校があって、駅前でも留学できるというのに、これほど英語がしゃべれない国は珍しい。それと似た国、一生懸命英語を勉強しているのにだめなのはトルコです。

 

 

 

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