日本財団 図書館


どのように立派な「構想」を考えても、「伝え方」が不味ければ、「構想」自体の意義も大幅に減じられることになります。むしろ、今までの日本の立場の弱さというのは、「語る内容」というよりは「語り方」に依っているところがあります。この件、今、論争として行われているものに「英語公用語」論争というのがあるのですが、英語も所詮、「道具」と割り切って、「使えないよりは使えたほうがよい」、あるいは「どうせ使うのならば、きちんと使えたほうがよい」という気構えで、臨んだほうがよいのかなと思います。

以上、「海洋国家・日本の構想」を語る際の前提について、思うところをいわせて頂きました。これから、「構想」の具体的な中身に関しては、後で議論できると思います。私の方は、これで終わりです。

伊藤憲一(進行司会者) 櫻田さん、どうもありがとうございました。大変ポイントを鋭く指摘していただいたと思います。

では、秋山さん、お願いします。

秋山昌廣 今の櫻田さんの話に非常に関連するのですけれども、結論的に言いますと、太田大使の提言された話が、この提言の最終レポートの1つの大きな柱になるということについては、非常に私も支持をしたいと思うのです。ただ、テーマとして「海洋国家日本の構想」ということで始まった以上、島国根性とかいう話もありますけれども、日本の独自性を維持しつつ日本の近代化を果たしてきたことが言えるのかどうかはともかく、大前提として四方を海に囲まれたそういう地理的条件が、いろいろな意味で日本に大きな影響を与え、今の日本をつくってきたということは言えるのだろうと思うのです。

こういうテーマで始まった以上、今、櫻田さんも言われたように、まず最初にそこを明確にしておくべき。もしいろいろ異論があったとしても、その整理をした上で、そして、構想と。そこの議論がなくて、あるいはそこは太田大使は飛ばされたのかもしれませんが、要するに日本の構想というテーマのもとでの結論のようなレポートは、やや、何のために3年間議論してきたのかという感じがするわけです。

そこで、そういう頭の整理をした上で二つほど。太田大使の言われたテーマ以外に、若干具体的なテーマなのですけれども、こういうテーマで日本の構想を議論するのであれば、半世紀とは言いませんが、四半世紀議論してきた国際海洋法あるいはアジェンダ21では、構想とか法律ができたけれども、ほとんどみんな勝手なことを考えているわけです。それについて日本が大きなリーダーシップをとるような提言を何か一つすべきではないか。

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION