(2) 自由討論:全出席メンバー
伊藤憲一(進行司会者) 太田専務理事、どうもありがとうございました。
非常に大きな構想を、しかし「海洋国家」というキーワードで押さえながら、よくまとめていただけたのではないかと思います。また、21世紀に向けて日本がどのような国家、民族としての展望、さらにできれば具体的な大戦略を持っていくべきなのかについても、非常に示唆に富む問題提起をいただいたと思います。
ただいまから8時半まで1時間半ほどございますので、ぜひ皆様には、本年度だけではなく3年間にわたって行われてきた議論の結論を模索するという意味で、共同の努力に寄与していただければありがたいと思います。
それでは、まず私から一言コメントを申し上げたいと思うのですが、自由討論会合の傍ら、我々のグループは初年度瀬戸内海、第2年度北方海域、今年度は南西海域ということで、海洋の現場を見てきたわけでございますが、私、瀬戸内海を見て感じたことは、海洋の多面的・多重的利用というものが、瀬戸内海は古代以来の積み重ねの中で、1つの極限まで行っているわけでありますが、他方、北方海域、南西海域というのは、逆に言って東京という日本の中心から距離があるということで、何か辺境の地域のように我々印象を持っていたわけですが、昨年、今年の旅行を通じて私が感じたことは、むしろこれは見方を変えると、日本民族というものが世界に向かって構築した突堤のようなものであって、突き出た埠頭のようなものであって、そこから古代以来、現地の人たちは世界に発信し、世界と交流してきたわけで、そういう観点から見ると、これは日本にとって非常に貴重な世界とのかかわりの出発点ではないかと感じたわけでございます。特に琉球王国が中国から東南アジアにかけて「大交易時代」というものを展開した歴史的遺産なども、我々にとって大きな参考になる財産ではないかと思った次第でございます。それを踏まえて本日の太田専務理事のご提言を受けとめると、一つ一つ符号しているところもあるような気がして、話を聞かせていただいた次第でございます。
それでは、江畑さん、お願いいたします。
江畑謙介 太田大使が非常に30分という短い時間で、しかも、理路整然とおっしゃってくれたのには感銘を受けましたが、自分の意見を1つと、それから、太田大使に対する質問を1つ、簡単に述べさせていただきます。