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最後に、日本は何をなすべきかというのを、海洋国家という視点からもう一回見直してみたいと思います。先ほど海洋国家というのは必ずしも海洋にとらわれることなく、普遍的な価値を掲げて世界のために貢献することが日本の国益、つまり、日本の平和と繁栄につながるという、開かれた国益を追求する開かれたメンタリティーを意味すると解釈すべきであるということをご紹介いたしましたが、世界秩序レベルで南北問題の解決、超近代文明の形成への寄与、貢献をするというのは、まさにそういうことではないかと思います。

地域レベルでは、昨年、問題提起のときだったと思いますが、五百旗頭先生が「東アジアは21世紀に伝統的な中華帝国という図式を越える歴史の新しい局面を模索することとなる、その際、大陸――私はこれは東アジアと読みかえたほうがいいと思いますが――の中小国の存在をみずからの国益と考え、東アジア全体が某一国の排他的支配下に入ることを嫌って、開かれた多元的国際システムを築こうとする海洋国家日本の存在は、地域の多くの国、多くの人々にとってよき知らせなのである」ということを言われております。

東アジアの地域協力体制強化の構想というのは、海洋同盟としての日米同盟を基軸に据えつつ、東アジアに、五百旗頭先生の言われた、開かれた多元的国際システムを築こうというものであります。

以上です。

 

 

 

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