それから、海洋国家日本としての力をさらにこれ以上、後ろにしないために何をなすべきかということを考えてみたいと思いますが、私、地元が兵庫県でございまして、まさに神戸港を抱えております。私は実は震災のときに、これは神戸が新生、再生する絶好のチャンスだと思っておりました。それはすなわち港、神戸港というのは、荷おろしその他ではもちろん非常に重要な位置を占めているわけでございますけれども、これがむしろチャンスで、もっといわゆるガントリークレーンが群立するような、そんなのを建ててやりたいというふうにいろいろとやっておりましたけれども、中途半端な形でもとに戻っちゃったなという反省も込めて申し上げておきたいと思っております。
シンガポールなどを見ますと、シンガポールは国が小さいですから、1つの国でその国、シンガポールそのものがポートオーソリティーになれちゃうという特殊性もありますけれども、やはりこれからの港、港湾のあり方というのは非常に重要になってくると思います。例えば動くほうの船のほうについて言うならば、例えば轉法輸さんなんかは日本政府に対して規制緩和の問題で非常に厳しいことをびしばしとおっしゃっていて、そして私、ある日、轉法輪さんに伺ったことがあるんですが、「それほど強烈に明確に批判なさって嫌がらせを受けませんか」というふうに伺ったところ、「いや、嫌がらせされるほど我々はもう規制に守られていないんですよ。もう何もないんですよ。もう一番最初にグローバルスタンダードをやらざるを得なかった分野なんです」というふうにおっしゃっていたのを非常によく覚えております。
一方で、それを受ける港のほうでございますが、これはちょっと言いにくい部分もあるのですが、私も兵庫の神戸の港のことを一生懸命やろうとすると、あるところから「セメント詰めになるよ」と言われたことなどがございまして、なかなかこれは、ポートオーソリティーができない理由は、まず中央集権であるということと、そして、各省庁の縦割りが激しいということ、それから、港というのは大体どこの国もそうだと思うのですけれども、結構意地悪されるというようなことがあります。
ですから、ある意味で、それぞれの港がポートオーソリティーをつくって、そして、それぞれの港が競争し合う、お客の引き合いをするというぐらいのことが必要になってくるので、今いろいろと問題になっている地方分権、それから省庁の縦割りの排除ということの象徴が、今の港が抱えている問題ではないかというふうに考えておりますので、ここは港を開いていくということ、すなわちまさに政治の今、残されている大きな課題が山積している、それを何とか解決していかなければならないと思います。