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また、外国の船会社、OOCLの例でも同様でございまして、ここにカーゴトラッキングと書いてございます(図38)。基本的には港間の情報伝達、港間の輸送に対しての貨物の追跡システムを構築しているということですが、この会社の場合にも先ほど申しましたようにIT革命、インターネットによるネットワークの仕組みを入れて、いち早く物流の効率化に取り組んだということでございます。

次(図39)でございますが、フリッツというアメリカの会社、この会社は実は最近UPSという会社に吸収されたのですが、この会社の場合、面白いのは先ほどのFedEx(フェデックス)ですとかOOCLと違いまして、自らの会社が輸送にかかわる資材を持っていない、すなわち船とか航空機を持っていないわけでございますが、この会社は情報システムを用いまして、他社の輸送機器、システムをつなぎ合わせて顧客にトータルのサービスを提供している、いわゆるサードパーティロジスティクスと呼ばれている企業でございます。

何故そのようなことができるのかということについていえば、先ほど申しましたようにいわゆるSCM、発荷主から受荷主まで一連の流れの中で、特に物流部門について、自社ではトラックなり、あるいは船を持っていないけれど、情報システムで異なる主体をつなぎ合わせまして、管理、物流の最適化を図っている、あるいは荷主に提案をしているということでございます。このような形で運輸サービスに付加価値をつけるということで、必ずしも自社で専用の施設、機器を持っていなくてもIT化によりまして、そのようなことが可能になってきているというのが実態でございます。

これ(図41)は先ほどと同じようにネット上での追跡サービスを示したものでございますが、このようなサービスは海外では当たり前になってきているということでございます。

特にここでサードパーティロジスティクスという言葉、これも皆様方すでにご案内のことと思いますが(図42)、日本でも、これもまた使う人によって、若干ニュアンスの違った説明をされることが多いのですが、私どもはこの意味合いといたしまして、お客様、荷主のロジスティクスを理解した上で、自社の有するノウハウを活かして、荷主に対してロジスティクスの効率化を提案する。そういった企業を3PL、サードパーティロジスティクスと定義させていただいています。すなわち、先ほどのフリッツのように全く自社で、何も輸送資材を持っていない会社も3PLになることができるのです。また、倉庫会社の方が、倉庫という自社の保有する施設だけのビジネスを考えるのではなくて、倉庫のノウハウを活かしながら、運輸部門も含めてトータルのサプライチェーンマネジメントの中での物流のサービス提案をするということも3PLであります。また、船会社の方が港間だけの輸送だけでなく、陸上部分も含めてトータルの提案をする。これも3PLというふうに考えております。従いまして、自社でここまでしか出来ませんというような限定的なビジネスをするのではなく、今まで培ってきたノウハウをさらに活用しながら、ビジネスの範囲をトータルの供給サイドのチェーンにつなげていく、というのがこの3PLということだと思うわけでございます。その中では例えば、輸送モードや運送事業者、輸送ルートの選択、ベンダー主導型の在庫管理といったことまで行っていくということで、荷主にとって最適な物流の選択、提案を行っていくということでございます。

 

 

 

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