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ここでもITの役割ということで記述してございます(図34)。ここでは物流にポイントを当てて記述してみました。例えばアジアの工場、生産拠点から日本までといったことで考えてみますと、発荷主から受け荷主まで、シッパーからコンサイニーまでの間で保険、銀行、通関、港湾への届け出、船会社代理店、フォワーダーなど、いろいろな関連主体、関連機関が登場するわけでございます。こういった一連の方々と、どう上手く情報をつないでいくか、ネットワーク化していくか、といったことがポイントになってくるだろう。特に輸入物流ということでいえばポイントになってくると思うわけでございます。

官公庁側でも先ほど、政府を挙げてIT革命に取り組んでいるということを申し上げましたが、ここで一例といたしまして、財務省の方で入港から通関許可までの処理時間の推移を数年毎に調査した結果をお示ししております。ここにございますのは(図35)、かつては入港から許可まで168時間かかったものが、最近では86時間ということで半分以下に減ってきたということでございます。これは通関システムとして昭和53年にNACCSというシステムが出来たわけでございますが、これを更改するたびに性能アップいたしまして、99年の更改Sea-NACCSでは物流情報も含めて対応できるようになってきたということでございます。また、平成13年度には国土交通省の港湾EDIとの接続、平成14年度には経済産業省の輸出許可システムとの接続も予定されておりまして、まさしく行政側でもこの物流部門、国際物流の分野でIT化を進めているということでございます。

そういった中で特に今まででしたら、ここにございますように(図36)、荷主からの書類が到着しなかった、あるいは貨物が先に到着して書類が遅れたというようなことで、入港から申告までに長時間を要したといったことが財務省の調査にあがっていますが、このあたりにつきましても、IT革命によるデジタル化といったものが進めば、文書でやり取りしていたものがIT革命によってデジタル情報に置き換わることも期待されるわけでございます。そういたしますと日本におきましても更に物流の効率化が進んでいくだろう、このように考えております。

こういった形で効率化が進んできますと、いろいろなサービスが期待できるわけです。例えばいくつか有名な例として、ここではフェデラルエクスプレス、航空貨物輸送会社の例をあげています(図37)。この会社の場合にはいち早く、貨物の追跡システムといったものをネット上で実現いたしました。このあたりにつきましては、テレビCM等でも流されていますので、ご案内のとおりでございますが、実はこの会社の場合には空港間の航空輸送だけではなく、空港から受け荷主あるいは発荷主から空港までの端末部分も自社で行っているということで、いち早く貨物の追跡システムというものを確立することが出来たわけでございます。こういったサービスも先ほど申しましたように、IT革命といったものによって達成されてきたところが非常に大きいわけでございまして、このフェデラルエクスプレスの事例をいろいろな所でご紹介しますと、彼らがSCMを物流の面から変えていくと多くのトップの方は共感されています。

 

 

 

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