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ここではいくつか海外の企業の例をお示ししたいと思います(図23)。まず、ソレクトロンという会社の例でございます。この会社、皆様ご案内のことと思いますが、黒子会社でございまして、ここにございますようにIBMとかApple、ヒューレットパッカート(HP)等々、いわゆるビッグネーム、巨大企業の生産部分、試作品ですとか部品調達、量産、そういったものを行っている企業でございます。特に最近の例ではソニーの東北地方にある工場を買収したことで、去年の10月の例でございますが、新聞にも登場したところでございます。この会社の場合にはサプライチェーンマネジメントの代表的な企業としてよく紹介されておりまして、非常にきめ細かな、オーダー単位でのリアルタイムの生産進捗管理を実現しているということでございます。先ほど漫画にございましたような、急な変更に対してもほぼ100%に近い納期達成率を誇っている、ということでございまして、それによって顧客の信頼を得ることができ、世界の著名な大企業の委託生産を行っているということでございます。

結果として、このグラフにございますように、売上高の驚異的な拡大につながっております(図24)。先ほどソニーが東北地方で保有していた工場の買収例を申しましたが、今後とも日本での工場取得に積極的にコミットメント(係わりあう事。)していきたいというようなお話でございます。ソレクトロンに限らず、同業他社でもこのような動きを加速しているということでございます。

特にポイントとしまして(図25)、注文を受けてから最短4週間で生産準備に着手可能ということでございまして、通常であれば先ほどの例ではございませんが、年間の工場の計画を作って生産していくということが多いのですが、ここでは注文を受けてから生産ラインを変えてしまうということでございます。すなわち、いろいろな企業の製品を作っているわけですから、ある1社のためにラインを独占しているわけではなく、順次切り替えていく、それを非常に速やかに出来る体制を整えているということでございます。

また、在庫回転率も6回転から7.5回転というように書いておりますが、最先端のソフトウェアを導入いたしまして、非常に高いパフォーマンスを達成しているということでございます。さらに、部品供給会社、約70社、それと顧客が先ほどもいいましたように著名な企業、こういった流れの中で徹底した最適化戦略、それも工場は全世界に21ヶ所ございますので、それらを1つのネットワークで結びまして全体最適化をはかっているということでございます。

次にデルコンピューターというコンピューター会社の例でございます(図27)。ここも同様でございまして、よくデルモデルといったものが経済誌等に登場いたしますが、基本的には先ほど申しましたような形でソレクトロンと同じような最適化を図っております。時間の関係でここにつきましては省略をさせていただきます。

次に物流関係で若干ご説明をいたします(図29)。物流サービスヘの要請ということで、よくいわれているのが確実に計算できるリードタイムの短縮と、貨物トラッキング情報、在庫情報のリアルタイム化ということでございます。サプライチェーンマネジメントについては必ずしも製造業に限った話ではなく、物流サービスの分野でも非常に進んでいるということでございまして、ここではいくつかの例をご紹介したいと思います。

 

 

 

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