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先ほどのパソコン、半導体に限らず、価格対性能比は、ものすごく短期間に向上しております。

このような変化の中で、先ほども申しましたように、市場の変化に機敏に対応するサプライチェーンマネジメントの高度化が求められております。

では具体的にどのような話になっているのかということを少し漫画でお示しします(図20)。例えばお客様から「来週までに3万個余分に商品が必要なのだが、対応できますか」というようなお話がきたとします。そうしますと、今までの紙ベースでの在庫管理、製造計画では電話での引き合いにすぐに答えられないということで、通常であれば「在庫状況を確認してから、後日改めてご連絡します。」というような応対をして、至急社内で在庫状況あるいは本当に来週までに3万個というような追加注文に対応できるのかといったことを問い合わせるということで、現場では急な変化に対しましてあたふたしてしまうというようなことがこれまで、ごく当たり前だったと思われます。

ところが、先ほども申しましたように、それによって販売機会を失うかもしれないと皆さん思うわけでございますので、理想でいえば(図21)、お客様からお話がきた時点で、すぐに検索を開始し、計画の再調整、リスケジューリングをその商品のパーツを担当している工場に確認する。その中で工場Bであれば対応が出来る、ただし急な話なので単価が少し高くなりますよ、というような交渉が即決で出来る。これもある意味では少し教科書的な例ではございますが、いずれにいたしましても、自分の生産側の状況について、市場の変化、急な注文の変化に対してどれだけ迅速に、俊敏に回答できるかといったことが、特にこれからの社会では非常に大きな意味を持ってくる、ということであろうかと思われます。

また、これはある例でございますが(図22)、先ほど申しましたようにアメリカの場合には、海外、アジアを中心とした国々に生産工程を移管する、あるいは協力会社に委託をするというのがごく当たり前の状況でございますが、あるオーダーの欠品がでた、遅れがでたといった時に、どこに問題があるのか、物流の部分なのか、あるいは販社側の対応なのか、工場側なのか、あるいは部品を提供しているサプライヤー側に問題があるのか。こういったことにつきましても、予定通りにものが進まない時に、トータルの生産工程、それも自社の範囲だけではなく国境を越えたサプライヤーまで含めた、トータルのチェーンの中で迅速に問題点の洗い出しが出来る、といったことを社内イントラネットによって、進捗把握をするといったことが非常に重要になってきております。

特に、ある著名な企業の場合には、目標水準に対して変動幅をそれぞれの過程で持っておりまして、例えばプラスマイナス2%のずれが出たときにはシステムが警告を鳴らし、正常値に落ち着くようにそれぞれの調整を行うというようなことが行われている、というようなこともございます。

 

 

 

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