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助成金を活用することによって、同じコストでもう一人分雇えるような仕組みもありますから、高齢者雇用がサービスや生産性向上につながるのです。高齢者が働くことは健康寿命を延ばすことにつながっていきますし、企業の方も生産性向上や効率化を考えれば、今の時代から高齢者をどこで役割発揮してもらうかとか、若い人たちへの教育的効果を期待するといった具合に、高齢者活用を真剣に考えることに着手していかなければなりません。

社会性余暇のところは先ほど申し上げたとおりです。余暇も、今後は自分本位から自己実現へと変わってくる。自分も楽しまなればいけないんですけれども、人様のお役に立って何ぼという人たちが増えて、社会性余暇というものが定着してくるだろう。こうした活発な行動を手当てしていくためにも、移動の手段は必要不可欠です。

それでは求められる交通政策というものはどういうものなのか、まず、生活交通の確保です。歩いていける街づくりということが全国各地で行われていますけれども、車を運転出来る間というのは60代後半から72、73歳くらいまで。そうすると車の運転をあきらめたときに、地域の中で買い物に行ったり病院に行ったり、友達のところに出かけたり、生活に必要な施設を結ぶ、きめ細かな静脈交通をどう確保していくかということが重要です。

バリアフリー法が去年の5月に成立し、11月から施行されていますけれども、まだ一層の推進が求められるだろう。いろいろな駅を同じレベルに整備していくには時間も費用もかかりますし、投資の重点化を検討する必要があるだろう。ひとつの駅は完壁にバリアフリー化をして、後はやらないのではなく、他の手段で手当てしていく。東京であれば乗降客数5千人以上の所というのは多いわけですけれども、乗降客数100人位のところにエレベーターやエスカレーター設置してもしょうがないですから、地域の中で、重点駅を決め、そこまではマイカーやタクシーで、またはミニバスなど静脈交通が必ず、アクセスしていることが重要でしょう。

今後は地方では、今までのように過密社会ではない、過疎の社会になってきます。施設を分散させるのではなく、高層化することによって立体的に街を利用していこうというような発想が必要ではないか。駅の上を有効利用してデイサービスセンターを作ったり、保育園を作ったり、今もういろいろ動きがありますけれども、社会人教育がだんだん出てきている中で、駅の上に生涯教育機関があったり、痴呆性のグループホームがあったり、立体的に都市を作っていく、オープンスペースは緑化したり、災害用の用地として十分に確保しておく、そういう発想の転換があってもいいだろうと思います。

 

 

 

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