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ユニバーサルデザインについては、詳しくご説明している時間もないのですが、27ページにとんでください。今後、高齢者が3人に1人になるという時代に、高齢者は大きなマーケットであるとして、各種産業がユニバーサルデザインやユニバーサルサービスというものに着目し始めています。後で少し旅行行動のところをふれようと思うのですけれど、ホテル業界でも人口減少が始まり、高齢者が増える時代に、高齢者に固定客としてリピーターになってもらう必要性がある。例えば、ホテルオークラは、老人ホームを運営する「伸こう会」という企業と契約をしまして、ホテルに泊まっていただいた方の外出支援をしたり、付き添いサービスをしている。パレスホテルは、7階の客室の一部を改装してマスターズフロアというものを作り、バスタブに非常用のコールボタンをつけたり、家具類の取っ手等も高齢者の弱い握力でも引き出せるようになってたり、バスタブの床に滑り止めのゴムが最初から貼ってあります。こういうサービスは確かに高齢者の増加、高齢者に安心して泊まっていただくことを狙ったものですが、必ずしも高齢者だけを満足させるものではなく、全ての世代にとって安心感を提供するものだというふうに考えます。高齢者への対応ということを考えるとたった人口の3人に1人、高齢者だけのためにお金をかけることはすごく無駄な投資かもしれないけれども、これは高齢者だけではなく、全ての世代に共通の商品であり、サービスであるという考え方で整備をしていけば、投資効果というのはより拡大してくるはずです。個々の障害別にみて着目しますとさまざまな配慮は異なってくるわけですし、高齢者自体も多様化しているわけですから、そこについて個々に対応していくというのは困難なことかもしれませんが、より多くの人が使いやすいような商品、デザイン、サービスを提供していこうという行動が今、多くの産業界に広がっています。

次に高齢者の旅行行動についてご説明をしたいと思います。現在、消費が落ち込んでいまして、今年になって初めて、単身世帯の消費というものも減少し始めました。若者で一人暮らししている人は携帯電話などコミュニケーション費用にお金がかかり、旅行や余暇に支出するお金がなくなっているそうです。

現在、国内の旅行需要を引っ張っているのは20代の女性と50代の女性、高齢者だそうです。東京都の調査でも、65歳以上では、年間平均30万円強くらいを旅行に支出しています。60代後半はアジア、ヨーロッパなど海外、70代になると国内旅行、近くて手軽で安心してできる場所に何度も行きたいリピーター志向に変わってきています。

日経産業消費研究所が行った調査なのですが、1年間の中で最も多い余暇行動は旅行と外出、趣味や娯楽というのがそれに続いています。東京都の調査よりは若干費用は低いのですが、高齢者は29万円程度使っています。

 

 

 

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