日本財団 図書館


18ページ以降は障害別にみた対応です。先ほど障害者は多様化しているということをお話しましたが、順に歩行障害、視覚障害、聴覚障害、上から6つ目の段の健常の高齢者をご覧いただきたいのですが、まず、高齢者は筋力が低下し、重いものがもてない、情報伝達も悪い。若い人だと、あるサインをみて、すぐそれが脳に伝わって機敏な行動にでるわけですけれども、サインの認識力が落ち、行動がゆっくりしていく。平衡感覚に劣る、環境適応力に劣る。新しい情報機器等を導入してもそれが使いこなせない場合も出てくる。さらに不安感が強く、自分の位置確認をひんぱんにする、そういった行動がでてきます。指先とか四肢の力が弱まってきますから、握ることが不得意であったり、視力も低下しますので、わかりやすいサインを出さない限り、危険を予知しにくい。危険が起こったときに、転倒したりぶつかったりする際に衝撃を回避するような策を生じてないと、大事故につながる可能性もあるわけです。スピード感のあるものについていけないこともあります。

障害者に対する対応は個別的であって非常に複雑で、それぞれの障害の人に対して個別に配慮していくというのはバリアフリーというふうに言われています。例えば、ここに、私が段を上がってくる中で、2段、階段がありますね。もしここに車椅子の人が講師で来られるとなると、ここをあがれないわけですから、そこにスロープつけましょうというのが、バリアフリー対応です。視覚障害者の人がきて、ひょっとしてここにつまづくかもしれない。車椅子も視覚障害も、健常者も利用しやすいように、台を最初から置かないようにしましょう、誰にとっても共通解を見出していこうという考え方が徐々に広まっています。目の前にあるバリアをとっていくバリアフリーに対し、最初からバリアを作らない、そういう考え方を「共用品」といったり、「ユニバーサルデザイン」というふうにいったりします。高齢者であってもお元気でかくしゃくとなさっている人もいれば、虚弱や寝たきりであったりする人もいるし、非常に体力においても多様性が進んでいる。高齢で車椅子の人もいるかもしれないし、高齢で視覚障害のある人もいるかもしれない。そういう人達を全部含んだ概念として捉えて、全ての人に利用しやすいような社会環境を作っていこう、サービスの面においてもそうです。車椅子だけのための配慮だけではなく、高齢者から子供まで、妊産婦や外国人まで全ての人が利用しやすいようなものにしていこうという考え方で、「ユニバーサルデザイン」を原則にした発想がコストの面でも疎外感を感じさせない意識の面においても非常に重要です。

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION