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自動車社会というのが高齢者の中にも浸透しておりまして、自動車利用が増加しております。それも、10キロとか20キロ動いているのではなく、50キロ、60キロ圏、行動半径が非常に広がっていて、地域の中で交流拠点となるような核が複数出来ている。広域かつ多極に移動し、そこで交流するようなパターンに変化してきております。

高齢者が何歳くらいで運転をあきらめるかということが警察の統計にもないのです。それは運転免許を身分証明書として使うことで、ずっと保持してらっしゃる人が多いから、免許を手放すかどうかという統計が取れていないのですが、やはり70歳前半で車よりも路線バスなど公共交通にシフトしています。

16ページが移動に関する高齢者の特徴です。皆さんは「浦島太郎」という高齢者体験をされたことがありますか。「浦島太郎」というのはめがねをかけたり、腕におもりをつけたり、足が曲がらないようにサポーターをつけたりして、それで高齢者になった気分があじわえるような装備です。視力は大体若い人の1/2から1/3に低下しますし、脚力とか敏捷性とか運動能力も半減します。これまでは、高齢者というのは、主に公共交通機関を利用する存在としてとらえられてきたわけですけれども、必ずしもそこだけをみていてはいけないのではないか。運転をする高齢者が増えていく中で、より安全に運転をして外出をしてもらう支援策と、運転をあきらめた後、どのように公共交通機関を利用しやすいものにしていくか、公共交通機関も利用できなくなった状態では、スペシャルトランスポートサービス、個別輸送をどう組み込んでいくか、タクシーを利用するのか、武蔵野のムーバスなど地域のミニバスみたいなのを走らせるのか、3段階で考えていかなければいけない。

「小走りが出来ない人」というのは大体60歳で1割くらい、70代で4割、80代で7割ですから、例えば信号の感覚についても、今までと同じでいいものかどうかということは検討していく必要がある。必ず車道を渡る上で中央に分離帯がなければ渡れないような車道幅の、6車線位の道路だと途中で渡りきれない高齢者も出てくるわけでございます。

17ページが高齢運転者の増加です。平成11年の統計では保有者数636万人です。65歳以上人口に占める保有率というのは10人いれば大体3人くらい免許持っていらっしゃいます。実際運転していらっしゃるかどうかは別ですが、保有割合は大体3割です。全免許保有者に占める割合というのは、10年後、2010年には1086万人で全免許保有者の13.7%になるわけです。100人道路を走っていると13人くらいが高齢ドライバーだと考えますと、やはり高齢者が安全にゆったり運転できる走行レーンですとか、見やすい標識とか、わかりやすいサインとか、制限スピードの面についても違った対応があっていいのではないかなと思います。

 

 

 

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