福岡県が管理する重要港湾としては2港あり、そのうち、県北の苅田港は背後に自動車などの工場群を配した県有数の工業港として、県南の三池港は東部有明地域の新たな物流拠点として、各々大きな役割を担っている。この他にも地方港湾が5港あり、7港の取扱貨物量は計約3200万トン(平成11年)となっている。
(ア) 苅田港
苅田港は、昭和19年に筑豊炭の積出港として始まり、昭和26年、重要港湾の指定を受けた。その後、背後地に九州電力、日産自動車、三菱マテリアル、麻生セメントなどの企業が立地し、現在は、年間取扱貨物量が約3000万トン(平成11年度)となっている。特に自動車は、北米、ヨーロッパをはじめ全世界に向けて輸出され、国際貿易港として躍進している。
平成3年より松山地区では、埋め立て造成した工業用地を平成3年度より分譲開始しており、積極的な企業誘致を図っている。
また、新松山地区においても、平成7年より港湾関連・ふ頭用地等の埋め立て事業に着手しており、本港地区では平成11年度から「多目的国際ターミナル整備事業」がスタートしている。
現在、沖合には新北九州空港(仮称)の建設も進んでおり、東九州自動車道も建設促進の機運にあることから、陸・海・空の結節点という地の利を生かして将来とも発展するものと期待されている。
(イ) 三池港
三池港は、三井三池炭鉱から産出される石炭の積出港として明治41年に開港されて以来、地域経済はもとよりわが国の経済発展に大きく貢献してきた。土砂が流れ込むのを防ぐために設けられた長い防波堤と、閘門によって仕切られたドックの形から、鳥が羽ばたく姿をイメージして作られたともいわれている。昭和26年に重要港湾に指定され、昭和46年には福岡県が港湾管理者となった。
平成9年3月の三池炭鉱の閉山に伴い、ふ頭の一部を三井鉱山から譲り受け、港湾施設の整備に取り組んでおり、すでに平成10年5月から公共ふ頭の共用を開始している。
また、平成11年11月には三池港港湾計画」が国の港湾審議会で承認され、今後、この計画をもとに、三池港背後圏の工業団地等を支える東部有明地域の新たな物流拠点として整備を進める予定である。
(4) 道路交通について
1] 道路の現状
本県には、九州縦貫自動車道、九州横断自動車道長崎大分線、西九州自動車道などの高規格幹線道路をはじめ、一般国道26路線、県道445路線及び多くの市町村道があり、これらの道路網は互いに効果的に結ばれ、日常生活を支えるとともに産業経済の発展に寄与している。
高速道路を含む自動車1台当たりの道路面積は、全国平均で94.0m2、本県では73.7m2であり道路の絶対量が不足している。また、改良率についても、一般道路では、全国平均の52.4%に対し、本県は55.8%と上回っているが、全国順位では18位である。
2] 時間交通圏目標の推進
本県では、交通体系整備の目安として、「県内各地域から北九州市または福岡市の両政令指定都市のいずれかへ60分以内に到着する」などの時間交通圏目標を設定しており、目標達成状況の向上を目指し交通体系の整備促進を図っている。