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宮崎県下の物流効率化に対応した拠点整備構想に関する調査研究(中間報告概要)

 

1. 調査の概要

宮崎県は、細島港、宮崎港および油津港の3つの重要港湾を有しており、宮崎港・細島港には阪神・京浜との長距離フェリーが就航し、細島港には韓国、台湾との間に国際航路が開設されるなど、海上輸送が国内・国際両面の物流において重要な役割を担っている。今後、港湾整備や背後の道路網の充実により、宮崎県の海陸輸送体系の結節点として優位性がさらに高まることが予想される。

一方、わが国では「総合物流施策大綱」(平成9年4月閣議決定)をはじめとする物流効率化に向けた取り組みの中で、地域間物流における複合一貫輸送の促進、国際物流にかかる時間・コストの削減など、海上輸送を活用した物流効率化への期待が高まっている。

このような状況のもと、本調査は、宮崎県下において海上輸送を活用した物流効率化を促進する観点から、宮崎港、細島港および油津港を中心とした海上輸送網の充実と海陸の物流を円滑に接続する物流拠点のあり方を検討するものであり、本年度は、国内・国際物流の実態把握、トラック事業者および荷主企業に対するアンケート調査・ヒアリング調査を実施し、海上輸送網を活用した物流効率化に向けた課題の抽出を行った。

 

2 宮崎県およびその周辺における貨物流動の現状

(1) トラック輸送の現状

1] 一般事業(旧区域トラック)

・地場の中小事業者が中心であり、上りは青果、ブロイラー、鶏卵等の農畜産物が中心であるが、季節変動が大きく、また、小ロット化により3〜5箇所卸が多くなっている。

・一方、下りは貨物量が少ないため、路線事業者の下請けとして帰り荷を確保するケースが多く、北部九州向けが多いため、フェリーを利用する場合も有人航送となる。

2] 特別積合せ事業(旧路線トラック)

・大手事業者が中心であるが、ターミナル間の幹線輸送の多くは傭車(下請け)で対応している。南九州発着貨物も北部九州経由で輸送されるケースが多く、また、発地ターミナルの出発が20〜22時頃と遅いことから、フェリーは利用されていない。

 

(2) 国内長距離航路網の現状

1] 航路開設状況

・細島港では、関東方面へのフェリー航路が開設されており、週3便運航されている。

・宮崎港では、関東方面へのフェリーが週4便、関西方面へのフェリーが毎日運航されている。また、東京・那覇を結ぶRORO船航路等も寄港している。

・油津港では、1999年12月に大阪・束京と結ぶRORO船航路(週2便)が開設された。

2] フェリー航路の現状

・京浜航路(宮崎・細島〜川崎)では上りの利用が多く、農産品(野菜)畜産品(食肉・ブロイラー)が全体の約7割を占めるが、下りは空荷の車両も多い。

・阪神航路(宮崎〜大阪)では、関東〜九州に比べて輸送需要が大きい、ダイヤが利用しやすい、経済的にフェリー利用のメリットがある、といったことから利用率が高い。

 

(3) 主要品目の広域的な物流実態

・家電、食料品、日用品など各メーカーでは、物流拠点の集約化が進展しており、九州では福岡市周辺へ集約化し、九州全域を受け持つ場合が多い。

・九州域内各地への配送は、特に長距離輸送となる南九州向けにおいて、各県に1〜4カ所あるターミナルにおいて積み換え、そこから二次配送する場合が多い。

・一方、工場から直接小売店に納入される直送品もあり、例えばある食料品メーカーではその比率が企体の半数強を占めている。宮崎県内でも、スーパーや加工食品工場などの大口顧客がいれば、工場から直送化し、海上輸送を活用する可能性が出てくる。

 

 

 

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