3 長崎港における国際航路網充実の意義
(1) 荷主の輸送コスト削減を中心とした国際物流の効率化
(2) 地域づくりの核としての国際航路
(3) わが国の西のゲートウェイとしての期待
4 長崎港における輸送体系の将来像
(1) 短期的な輸送体系のあり方
・韓国航路(釜山:週2便)の定着
(週2便の寄港維持に必要な貨物量の確保)
・中国航路(上海等:隔週)の拡充
(貨物量の拡大による多頻度化・運賃の低廉化)
(2) 中長期的な輸送体系のあり方
・トランシップサービスの提供可能な拠点港(高雄、香港等)との航路
・東南アジア方面の複数の地域・港湾を組み合わせた航路
・地理的優位性を活かした上海等へのシャトル航路
5 長崎港の将来像実現に向けた戦略
(1) 長崎港周辺で生産・消費されるコンテナ貨物の長崎港利用促進
国際航路網の維持・拡充に必要な貨物量を確保するため、まず長崎県で生産・消費される輸出入コンテナ貨物量(年間約12千TEU、週あたり約240TEUと試算される)のうち、長崎港を利用していない貨物の利用転換を促進することが重要である。現在の長崎港の利用実績は輸入に偏重していることから、長崎県内で生産される輸出コンテナ貨物の主要品目である電気機器、一般機械などの長崎港利用を促進する必要性が特に高い。
(2) 長崎港周辺で生産・消費されるコンテナ貨物の創出
釜山港でのトランシップサービスが可能な韓国航路においては、長崎港周辺で生産・消費されるコンテナ貨物のほとんどを潜在的な輸送対象とすることができるが、中国航路については、中国発着分のみが対象となり、特に輸出は実績がほとんどないことから、長崎港周辺におけるコンテナ貨物の生産・消費量自体を増加させることも求められる。
(3) 他港との差別化による背後圏の拡大
長崎港の貨物量拡大の方向として背後圏の拡大も考えられるが、その場合には北九州港、博多港、神戸港などの背後圏と重複するため、長崎港独自の魅力付け、差別化が必要となる。その方向として、長崎港の地理的優位性を活かした関東・関西方面と中国・上海等とを結ぶ航空輸送と海上輸送の中間的な輸送サービスの提供が有望と考えられる。
(4) 周辺港湾との連携による貨物量の確保
貨物量を確保するための方向性として、周辺港湾との連携も考えられる。具体的には、現在開設されている韓国航路のように、複数の寄港地を組み合わせて航路の維持に必要な貨物量を確保することに加え、さらに踏み込んだ連携として、周辺港湾間で相手地域別の役割分担を明確化し、ある港湾には中国向け貨物を、別の港湾には東南アジア向け貨物をそれぞれ集約化するといった形態で、貨物を相互に融通し合うことも考えられる。
6 長崎港の将来像実現に向けた方策
(1) 短期的な方策
1] 長崎港利用促進施策
長崎港の利用促進に向けた協議会等の設置/荷主へのポートセールス体制の一本化/ホームページ開設等による情報提供
2] 長崎港のコスト削減のための施策
輸出・輸入コンテナ貨物の組合せによるコスト削減/海貨業務の共同化/荷主の物流共同化/アクセス道路の整備促進/港湾施設使用科のインセンティブ制度導人の検討
3] 長崎港の利便性向上のための施策
通関の迅速化・円滑化/混載サービスの充実/燻蒸施設の稼働再開/港湾EDI、Sea-NACCSへの対応等
4] 貿易促進施策
上海事務所等を活用した情報収集・発信/見本市・商談会の開催、ビジネス・マッチングの実施等