また、本県の長距離バスは、福岡、熊本、鹿児島など九州各地を結ぶ高速バスや特急バスが運行されている。
タクシーについても、輸送人員は昭和47年のピーク時に比べ6割程度にまで減少しており、経営環境は厳しい状況にある。これを受けて、車両のグレードアップや乗務員の接客態度の向上など利用者サービスの向上に努めるなど利用促進策に取り組んでいるところである。また、多様化する利用者ニーズに対応するため、乗合タクシー、福祉タクシーなど新規需要の開拓にも努めているところである。
(5) 鉄道について
1] 概況
県内における鉄道網は、小倉から鹿児島まで東九州沿海部を南北に縦断する日豊本線、宮崎市から日南海岸沿いに南下し、鹿児島県志布志町に至る日南線、都城市から県西部を鹿児島県吉松町に至る吉都線、それに旧国鉄の高千穂線から第三セクター鉄道として開業した高千穂鉄道の4路線で形成されている。
日豊本線については、昭和54年の南宮崎〜鹿児島間の電化をもって全線電化が終了し、昭和54年に都城〜西都城間、平成5年に宮崎〜神宮間が高架化されている。さらに平成3年からJRに対する地方自治体の補助としては全国で最初のケースとして、県及び旭化成が一部経費を負担することにより宮崎〜延岡間の高速化工事が実施され、最高速度が110km/hとなった。また、平成8年には地方空港としては初めての宮崎空港連絡鉄道が開業している。延岡以北及び宮崎以南については、電化工事の他は基盤整備が行われておらず、最高速度は85km/hのままである。
日南線、吉都線については、非電化のままであり生活路線として運行されており、最高速度も85km/hのままであるが、日南線では、昭和59年に運動公園駅が開業し、平成9年からリニューアル車が運行している。
高千穂鉄道は、昭和47年に延岡から高千穂までが開通し高千穂線として運行されていたが、昭和59年に第二次特定地方交通線として選定され、「高千穂線特定地方交通線対策協議会」での協議の結果、第三セクターとして存続することが決定し平成元年に開業している。
2] 今後の鉄道整備
在来線においては、日豊本線、特に延岡〜佐伯間、宮崎〜鹿児島間のいわゆる県際間の高速化が重要な課題である。このため、関係県やJR九州との間で高速化のための研究・協議を行っているとともに、宮崎県鉄道整備促進期成同盟会などと連携しながら早期実現に向け努力している。
また、日南・吉都線と高千穂鉄道についても県内の主要地域を結ぶ貴重な公共交通機関であり、通勤・通学の主要手段、観光アクセスとして利用されており、利便性の向上に努めている。
新幹線鉄道においては、福岡市を起点として北九州市、大分市、宮崎市を通り鹿児島市に至る東九州新幹線が基本計画線として位置づけられており、関係各県・市等と設置している東九州新幹線建設促進期成会を通して、整備計画への格上げを陳情している。また、車両の左右間隔を線路幅に応じて自動的に変換することにより、新幹線から在来線に直接乗り入れできる軌間可変電車(フリーゲージトレイン)の導入実現に向けて平成11年度から国において実施されている「新幹線直通運転化事業調査」の対象路線に日豊本線が選定されており、平成13年度からは車両走行試験が実施される予定である。