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その内容ですけれども、たばこは吸わないということ、酒も飲みすぎない、食生活においても塩辛いものや不飽和物の摂取をさけ、偏食をしないようにし、緑黄色野菜等を多く摂ることが大切です。

喫煙と発ガンの関係ですが、タバコを吸う人と吸わない人の喉頭がんの罹患率を比べると、32.5倍です(図32)。

 

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図32

 

タバコと肺癌はよく因果関係を指摘されていますが、肺癌は4.4倍と喉頭癌と比べて低そうに感じますが実際に喉頭癌になる人が80人位とすると、肺癌は約20倍の1500人位存在します。タバコを吸う人が吸わない人に比べて4.4倍肺癌になると言うことは約1200人以上が、タバコを吸わなければ肺癌にならずに済む、喉頭癌での禁煙効果は同様の場合で80人くらいです。このように全体からみると肺癌とタバコの関係、禁煙が癌の発症、罹患率を大いに低下させ得ることが見て取れます。また、タバコを吸わない妻がタバコを吸う夫を持つ場合の癌との因果関係も報告され、いわゆる間接喫煙も問題となっています。現在タバコを吸っている方でも、禁煙を10年続けると肺癌になる確率が80%減少する。食道癌や膀胱癌でも50%減少するということです。禁煙ということを、医療関係者が啓蒙していかなければならないことだと思います。海外、特に欧米ではそれこそ10年くらい前に喫煙による癌との検証が報告され禁煙キャンペーンが行われております。禁煙キャンペーンの効果として喫煙率の低下および癌罹患率の低下が報告されています。欧米のまねばかりをと言われる人たちもおられますが、癌を予防していく必要性を十分理解して、がんと喫煙との関係を医療関係者もしっかり把握し、啓蒙活動を行っていかなければならないと思います。国立癌センターが発表している癌予防の12ヶ条の中では、喫煙に関してはタバコを少なくすると書かれ、タバコをやめるとは書かれていません(図33)。

 

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図33

 

タバコに関して癌予防のためのみならず、肺疾患、血管性疾患を含め、自分のため、隣人のためにタバコをやめると断じて書くべきです。

まずは生活の中で出来る癌予防を実践していただき、また検診等を受けられ早期発見、早期治療されることをお勧めいたします(図34)。

 

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図34

 

また機会をつくってこれらに加え、癌告知等についても家族で話し合われておいた方がよろしいかと思います。

以上、御静聴ありがとうございました。

 

 

 

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