特に親指を切断してしまった場合は是非接着術を受ける必要があります。そうでない指であっても、切れてしまった指の保存をしっかりしていただければ、再接着が可能です。指が切れてしまっても、皮膚の一部が繋がっている場合があります。この場合は極力繋がったまま、自分ではがしてこないようにしていただきたいということ。また、切れてしまった指に関しても、上手に冷却することによって、8時間たっても再接着できます。その実際ですけれども、生理食塩水で洗ってもらって、ガーゼで包み生理食塩水に浸してもらう(図18)。

図18
湿気を与えることが大事で、乾燥させないよう、またふやけても困りますのでふやけない程度に湿気を与えるように、ガーゼに包んでもらう。そして、氷水に直接つけずにビニール袋に入れて、その袋を氷水の中につけて、冷やして下さい(図19)。

図19
そうすることによって、8〜12時間、再接着可能な時間が延びますので、その間に医療機関に行って下さい。医療機関でも全ての医療機関で再接着ができるわけじゃありませんので、切断指の接着ができる医療機関に行っていただくことが大切だと思います。
次に熱傷です。これも最初の手当が一番大切なものの一つです(図20)。

図20
まず、流水で30分以上冷やすことが一番大事なことです。これで、やけどの深さを最小限に止めることができます。水疱ができた場合、水疱を破らないようにして下さい。水疱を破ると皮膚のバリアがなくなり細菌、ばい菌がついて、感染し化膿してきます。感染を起こすとせっかく浅く済んでいた熱傷が深い熱傷と同程度となってしまいますので、要注意です。病院では消毒し、水疱の皮を残して、水疱内の液だけを吸引し破れないようにします。たとえ破れても、しっかり消毒ができていれば感染を起こさずにすみます。熱傷の深さにより浅い方から深い方へ1度、2度、3度と評価しています(図21)。

図21
これらは治癒の経過が異なり、2度の浅い方であれば1〜2週間で治ってしまいます。2度の深い方であれば3週間くらい要したり、皮膚がケロイド状になって治ります。この辺の微妙な熱傷が一番多く見受けられます。深くしないために、十分に流水で冷やすということ、水疱を破らずにそのまま医療機関で受診してもらうことが大切になります。煤が鼻や口に付くような火傷は気道熱傷と言い、呼吸困難になる可能性が高いですから、早目に医療機関で受診して下さい(図22)。

図22
次に熱傷と同じ様な化学熱傷についてです。いわゆる薬品による熱傷で、これも熱傷と同じように早目に水で洗い流して下さい(図23)。

図23
最初にどうもなくても、一番最初は薄い状態で薬品が付いたとしましても、だんだん乾燥してきて皮膚に残っていることによって、濃度が濃くなり障害が発生するということになります。まず、30分以上、1〜2時間、しっかり洗っていただき、中和剤があれば中和処理することが大切です。
病気にならない、けがをしないことが一番大切ですが、万が一の場合を考えこれらの応急手当の知識も大事です(図24)。

図24
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