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日本財団紹介コーナー

海賊

 

前回に引き続き第2回目として日本財団海洋船舶部で調査研究事業として直接取組んでいる事業を、紹介させていただきます。

 

海賊という言葉を聞いてみなさんは何を思い浮かべるでしょうか?言葉の響き自体はロマンチックな中世の海賊を思い起こさせますが、21世紀を目前に控えた今日にも世界各地にかつての海賊とは異なった形態で存在しています。海賊の世界も他の犯罪同様に衛星情報やコンピューターを使い、高度化、複雑化、組織化しており、その態様は様々ですが、船舶に乗り込み金品を窃盗・強奪する事件、乗組員と積荷を含めた船舶ごとハイジャックする事件なと、凶悪化した事件が多発しております。1999年10月には日本人2人及びフィリピン人15人が乗船する貨物船「アランドラ・レインボー号」がインドネシアから福岡県三池港に向け出航直後に、積み荷のアルミニューム7千トンごとハイジャックされ、約2週間後に船長らがタイのプーケット沖を救命ボートで漂流中のところを発見・救助された事件については、国内でも大きく報道されたのでご記憶の方も多いかと思います。

当財団では東南アジア海域をはじめ世界的に海賊事件が多発し注目される中、1999年4月、外航船を運航する日本の船会社に対して海賊被害の実情調査を行い、その後、海賊問題に対する研究に積極的に取り組んで参りました。最近取組んできた事例について以下紹介いたします。

 

[1] 1999年(1月〜12月)及び2000年(1月〜3月)の日本船関係の海賊被害状況調査の実施

日本国内の船会社で、外国航路にて運航している会社及び支配下の会社が、外国航路にて運航している会社(137社)を対象にアンケートを行ない、インドネシアをはじめとする東南アジア海域を中心に、1999年は34件、2000年は13件発生していることがわかりました。

 

[2] 新型海賊警報装置「とらのもん」の開発への取り組み

船乗りの人々の知恵をもとに、安く作れて、誰にでも取り扱え、手入れも簡単な新型海賊警報装置を開発し、東京・台場の「船の科学館」の元南極観測船「宗谷」において本年2月に海運会社をはじめ海事関係者を対象として、公開実験を行ないました。現在、世界各地を航行する16隻の日本関係の船舶に搭載し、更に使いやすく実効性のある装置への改良を目指してモニター航海を実施中です。

なお、名称「とらのもん」は、日本財団の所在地である東京都港区虎ノ門に江戸城を守る門の一つがあったということと、航海の安全を守る金毘羅様を祀る琴刀平神社の門前町であったことに因んでつけられたものです。

 

[3] 海賊対策国際会議の支援

当財団理事長からの進言により、小渕前総理大臣が提案したASEAN+1において、日本がその中心となって東アジアの海上交通の安全と秩序を保つため、海上保安庁が議長として本年3月7日〜9日アジア12カ国1地域の海上警備機関の部長級による実務会合が開催されました。その成果は各国の海賊対策の連絡窓口を確認し、海上警備機関のネットワークの構築がなされたことになりました。

また本年4月27日〜29日にはアジア各国の海上警備機関の長官級会合が東京で開催され、アジア地域の海賊対策の協力姿勢の合意が図られました。日本財団では、この2回の会議において、日本国と共同し企画・運営及び資金面より支援いたしました。

 

当財団では、我が国の生命線とも言われる東南アジア海域の航行の安全を守り、海賊被害を未然に防ぐ方策を模索する海賊対策の研究に引き続き取り組んでいます。

なお、当財団で実施したアンケートの調査結果、海賊対策セミナー等に関する詳細につきましては、日本財団のホームページをご覧頂ければ幸いです。日本財団は、船舶の航行安全並びに海事と運輸の全般について支援を行なってまいります。

 

連絡先 日本財団海洋船舶部

国内事業課 池内賢二

TEL 03-3502-2385

FAX 03-3502-0748

 

 

 

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