また、一方で中国では鉄道貨物輸送と海上貨物輸送を連携して欧州方面へ貨物を輸送するという国際複合一貫輸送の動きがございます。
国内物流にしても国際物流にしてもますますニーズは高度化し、多様化しておりますので、北部九州圏がそういった動きに取り残されず、かつアジアとの連携を深めながら国際的にも地域経済にも寄与するということは大変大事かと思います。
そういうことで、この調査というものは大変時宜を得たものとして、運輸局としても大いに期待しているわけでありますが、会長として、この調査に対するお考えの一端をご披露いただければと思います。
石井会長
私もね、これは非常に大事なタイムリーな調査研究だと思います。この研究にはローカルな視点とね、グローバルというとちょっと言い過ぎかもしれませんけれど、マクロな視点とがあるんです。
ローカルな視点というのは、北九州の貨物輸送モード、海と道路と鉄道、この3つをどういうふうに結び付けていくかという研究の視点ですね。そしてマクロな視点とは、周辺諸国との関係をとらえながら、今後の趨勢を考えていく視点であります。
今、21世紀を志向してアジアの周辺諸国というのはハブ空港、ハブ港湾を整備していますが、日本はわりと分産型にそれらを手がけてきたような現実があります。ですが、これからは、特に九州は、必ず周辺諸国の巨大ハブ施設の存在というものと上手く組み合わせてアジア志向のハブ施設を考えていくべきだと思っています。
それで、局長もさっき言われましたけれど、中国とヨーロッパを鉄道で結ぶチャイナランドブリッジを活用した、北部九州とヨーロッパを結ぶ新たな輸送ルートというのはコンテナ輸送が中心だと思いますが、21世紀における非常に大きなプロジェクトですね。
余談になりますけど、これは旅行ですが、うちもシルクロードのツアーをずっとやっているし、今年は日蘭交流400周年ということでヨーロッパからロシアを通って中国までツアーをやるんです。
それから、一番ホットなニュースとして、過日の韓国、北朝鮮の首脳会談がありましたが、意外と早く鉄道が直通して、釜山から先程のルートが始まるかもしれません。北部九州圏の輸送インフラの整備は、こうした構想を考えたうえで、九州圏はもとより、日本全体の物流の効率化、高度化に貢献する可能性があり、重要な研究課題であるといえます。
中西局長
ありがとうございました。
さて、少し話は変わりますが、運輸省は来年1月から国土交通省に変わるわけですが、これは、従来からある国土行政、建設行政と運輸行政が一体化するということです。今まで道路と道路以外の交通手段が別々の役所に分かれていた、あるいはまた、都市行政と交通行政が別の役所になっていたわけですが、これらがひとつになることによって、国民の期待に応じられるような新たな行政が展開できるんじゃないかと思っております。
その一方で今、運輸省は各輸送モードにおける需給調整規制の原則的撤廃を進めております。これは、21世紀を睨みまして、日本を市場原理に立脚した、活力ある社会にしていこうという政府全体の方針があるわけでありまして、それに応じて運輸も、各モードごとに、原則として需給調整規制を廃止していこうという動きでございます。
需給調整規制につきましては、否定的にみる見解もあります。従来は過当競争によるサービスの低下あるいは安全性の低下をふせぎ、また、採算面と不採算面との間の内部補助を結果として認めることによって、利用者に対して良質の交通サービスを安定的に供給できるということで、従来型の需給調整規制にも一定の評価をする必要があるとは思っているわけでございます。
しかしながら、需給調整があるということは、新たなサービスを提供したいという意欲ある事業者の方が、市場に新規に参入することを妨げたり、あるいは、言い過ぎかもしれませんが、やや経営的に問題のある方がそのまま事業を継続することが可能になるというような面もありました。