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その一環ということだと思いますが、JR貨物さんの方で門司貨物ターミナル駅を整備されておるわけです。大規模な貨物取扱ができる駅というのが九州では福岡貨物ターミナル駅しかありませんが、年々離発着が増えておりますし、また、行き止まりの駅なので中継基地として非常に使いにくく、浜小倉は狭いということもあって、本州へ行く途上の門司の操車場を整備いたしまして、門司貨物ターミナル駅にしようという動きでありますが、これは国の幹線鉄道整備のための補助事業でもあります。

また、アジアとの物流面での交流や、国際競争力の維持の必要性もよく言われております。

港をみますと、北九州とか博多、伊万里、長崎などの港に外航コンテナ航路がございますし、特に、最近は北九州や博多港では大規模なコンテナターミナルが整備されているわけです。国内のフェリーやRORO船につきましては北九州、博多等、11港に就航しております。

会長は、九州の物流という面で、いろいろご高説をお持ちかと思いますが、ご持論を少し拝聴させていただければと思います。

 

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石井会長

一般に、ものを生産して消費者にいくまでのコスト構造は、製造コストと物流コスト、それから販売コストが、大体3分の1位ずつのウェイトを占めているといわれています。

そのうち、製造コストは徹底的にコストダウンしていますね。オートメイションとか、海外シフトとか。それに、販売コストも、過当競争ですから、非常に限られています。すると、物流コストというものが今非常に大事な要素となっているんじゃないかと思います。

ただ、物流には質とコストというものが両方あります。質でいえば速達性とか確実性とか、必要なものは必要なときに、つまり、ジャストインタイムの保証というものが大きな関心事です。

それから、かつ、早ければいいものでもない。それでコストとのかけあいですよね。

かつてアメリカの話を聞いたんですが、ある製品の最初の製造者から消費者に行くまでのフローをコンピューターでずっと分析してみると、ものすごく無駄があるというんです。こういう点で、日本の物流も無駄を改善していく必要があるでしょうし、最近言われているサプライチェーンマネジメントにも積極的に取り組むべき時代に来ていると思います。

また、物流を議論する場合には、複数の輸送モードを、ネットワークとしてとらえる必要があります。

そこで、まずは輸送モードの協力といいますか、どう組み合わすかというようなことを今までの常識論にとらわれずに考えていく姿勢が必要だと思います。

それから地域間の調和というのがあると思います。例えば港湾整備でいうと、博多港と北九州港では全く歴史や背景、背後圏の特徴も違いますよね。これは自治体とか運輸省にもご指導いただきたいんですが、地域間の調和を考えた上で、それぞれ個性的な整備を行っていく必要があると思っております。

そこで、九州は、アジア諸国と日本の大消費地とをつなぐジャンクションとして非常に独特のポジションを占めていますから、大いに時代を先取りして、1つのモデルになるように勉強をしなくてはいけないでしょう。

アジアの窓口というより、アジアの一員として、「アジアと一体化して発展する九州」をめざすべきだと考えています。

 

中西局長

そういう中で現在、センターでは「北部九州圏における海上貨物輸送と鉄道貨物輸送の連携」ということで調査研究をされておられます。今、会長もおっしゃいましたように、北九州港・響灘地区で大水深の国際貨物コンテナターミナルの整備が進んでおりますし、JR貨物さんでも門司貨物ターミナル駅を整備されまして、海上コンテナ用のホームも作られると聞いております。

 

 

 

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