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それから海上輸送でございますけれど、海上輸送は北部九州の場合は、輸送環境に非常に恵まれておりまして、特に大ロット輸送網が整備され東海地区以遠のコンテナ、セミトレにつきましては、20トンロットの無人航送が可能となりまして、非常にコストか安くなっております。加えまして、今年8月から規制緩和により危険物輸送も可能となりましたので、海上輸送が従来以上に、非常に利用しやすくなったというのが現状でございます。このような輸送環境になってきておりますので、関東以遠の海上輸送との競合が激化してきておりますだけにJR貨物につきましては、ISOコンテナなどの大型コンテナ輸送を本格化させることが必要であると考えております。現在JR貨物さんが阻害要因としてあげております機関車だとか、コンテナ台車とか、トップリフター等のインフラ整備に加えまして、取り扱い駅の制限だとか、重量制限などの制限解除を積極的に実施していきませんと、大型化の輸送競争には勝てない環境になりつつあるというのではないかと私共は考えております。

次にJR貨物輸送に関する提言および要望を3点ばかり述べさせていただきます。

まず、1点はJR貨物輸送枠ということで、ございますけれども、JR貨物輸送を利用する場合は発駅から着駅までの一貫輸送枠が確保されませんと、輸送できないという一貫輸送枠確保が前提のシステムになっております。過去の事例で申しますと、群馬県の渋川まで毎日4個のコンテナ発送貨物がありました。最終ターミナル駅であります熊谷までは輸送枠が確保されたのですが、最終駅であります渋川駅までは?枠がありません?ということで、JR貨物さんから輸送を断られたという実績がございます。従いまして、現在はこの渋川までは、海上輸送と通運の両輸送手段を使って、運送しているという実態でございます。九州地区につきましては、本州から九州に輸送してくる場合、最終ターミナル駅まではレールで、ターミナル駅から末端駅までは通運というふうに、たとえば東京から博多までくるときはレールで持ってきて、それ以降、たとえば長崎まで持っていくときに枠がないという場合は、JRとトラック便の組み合わせ輸送である、トラック代行輸送を実施しているというふうに聞いております。これによって、客の利用率も増え輸送量もかなり増加したと聞いているんです。このような顧客重視の柔軟な考え方で全国展開を図られますと、コンテナ枠の予約だけで、空コンテナをかなり輸送されていますことも少なくなりますし、使用ターミナル間の輸送量も増えると思います。また、JR貨物全体としても輸送量も増えるんじゃないかという様に思っております。したがいまして、JR貨物さんとして、お客の立場にたって輸送を考えるというような柔軟なサービス姿勢が現在、求められているんじゃないかという様に考えます。

2点目に安定輸送ということで申し上げますと、私共は全国各地にありますユーザーさん、すなわちメーカーの原材料を多く輸送しております。従いまして、輸送が遅れる等々のトラブルが発生した場合にはユーザーさんに多大の迷惑をかけます。最悪の場合はユーザーの操業を停止するというような重大トラブルまで発展します。従いまして、私共としては、お客さんが指定した到着期日を守るということを絶対条件として輸送を行っています。さらに1万回でも、100万回に1回でもこの様な輸送トラブルが起こりますと、三菱化学社の原料メーカーとしての信用までも失うということになります。JR貨物輸送を考えてみますと、最近1年に数回、風水害だとか、あるいはその他の原因によりまして運行トラブルが発生しております。風水害などのトラブルをゼロにしてほしいなどとは申し上げませんけれども、貨車がトラブルで貨物駅に止まった場合には、停止した駅で可及的速やかに荷物を降ろして頂いて、そして代行便をたててユーザーから指定された到着期日を守るという、運送業としての責任姿勢を是非示していただきたいと思います。現状を申し上げますと停止した駅で待機しているといった状態でございまして、荷主であります我々から状況を聞かなければならない。たまには状況を報告していただくこともありますけれど、我々の方が積極的に状況を聞かなければならないというようなこともありますし、また、対応を連絡しないと何もしてくれないというような待ちの姿勢が非常に強いという様に思っています。

 

 

 

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