こうした進出企業は、必ずロジィスティクスの重要性を認識して流通業界に革新を要求しているというか、求めていることだけは共通しているんじゃないかと思われます。
で、この業界が外圧で変わるのか、自らが実行して変わるかはまあ、各企業さんの選択肢ですけど、今日のパネラーとして、是非JR貨物さんを中心になってですね、通運業界を挙げて取り組んでいただきたいなと。やはり、企業の生き残りのキーワードというのは、流通を征した者、このキーワードは普遍の真理だと理解しております。より早くネットワーク化を進め、スピードよりもアーリー(early)の方で、過剰な設備、台数だとか、企業数、いろんな問題を解消してですね、生産拠点としての九州の優位性を作り上げて、九州へ製造業がもっと進出しやすい、そんな環境を作り上げて欲しいと思います。其の為にも是非成功事例を一例でもいいから作り上げて欲しいですね。日本の企業あるいは海外の企業にとって、"刺激になります。それが九州の物流の隆盛につながる入口だと思います。今までの届ける物流から、新しい価値を作り出す流通を是非目指して大改革を実現していただきたいなとお願い致しまして、一応終わりにさせていただきたいと思います。
柴田 ありがとうござました。九州の生産拠点を流通拠点に移す、これはある意味では、地方にとっては製造業が撤退するという大変なお話でもありますけれど、企業が生き残るためには、生産拠点の整理、集中化によって物流コストを抑えざるを得ないというお話でした。それから、JR貨物さんに対して若干のご提案がございましたが、そこらへんについてのお答えは、後でJR貨物さんの方からフォローがあると思います。
では、次に三菱化学物流、お名前からいくと荷主さんでもあり、通運事業者さんでもあり、いろんな立場を兼ねておられ、その面ではJR貨物を多面的に見ておられるお立場にあると思いますが、三菱化学物流の九州支社の尾前支社長にご発言をお願いします。
パネリスト
三菱化学物流株式会社
取締役九州支社長
尾前佳宏
(おまえ・よしひろ)氏
昭和35年、三菱化成株式会社(現・三菱化学)に入社。一貫して製造、技術開発部門を歩み、同社製造部長を経て、平成10年より、三菱化学物流(株)の現職。昭和16年生、山口県出身、58歳。
尾前 ただ今ご紹介いただきました、三菱化学物流の尾前でございます。私共の会社は名前のとおり、三菱化学社の100%出資の物流子会社でございまして、三菱化学社の物流業務と一般マーケットにおける運送事業を展開しております。
私共の輸送手段としましてはトラック、ローリー、JR貨物輸送、海上輸送と、私共自社所有の物流手段に加えまして、幅広い輸送手段を利用して物流業をやっております。また、総合化学メーカーであります三菱化学社の輸送を行っておりますので、危険物とか毒物輸送が非常に多いという特徴をもっております。私共のJR貨物九州支社に於けるシェアは現在約7%弱でございまして、九州における最大の荷主であると思います。
そういうことで、本日は荷主の立場と通運業の立場の両面から、若干辛口になると思いますけれども、JR貨物さんに意見をのべさせていただきたいと思います。
まず、私共の輸送手段の選定基準でございますけれども、安価で確実に速くということを選定基準にしておりまして、全ての輸送手段を競争させているということでございます。地域別には、まずコスト重視で輸送手段を選定しておりまして、現状1年間の実績は九州、中国、関西地区までは通常はトラックを主体とした輸送手段をとっております。大型輸送ロットの場合とか、あるいは納期に余裕がある場合とか、返送容器のある場合につきましてはJR貨物を使っているという状況でございます。東海以遠につきましてはやはり距離の関係からJRまたは、海上輸送を主力として使っております。JR貨物さんにつきましては、5トンおよび2〜3トンの積み合せ輸送については競争力があると見ておりますけれど、東京、名古屋、大阪地区、すなわち大都市以外の都市につきましては、納期スピードが極端に遅いという弱点を持っているという様に認識しております。