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で、これから私が提案させていただくことは、今日参加されている皆様方には非常に厳しいお話になるかもしれませんが、ぜひ参考意見としてお聞きいただければと思います。

今、グローバルに企業の統廃合が起こっておりますし、身近な問屋さん、卸業界でも、大型合併を繰り返しながら、生き残りをかけています。私の目からみますと一番遅れている業界というのは、規制の中で営業を行なってきた企業さんではないかと思います、特にその最たるものが、銀行だと思うんですね。最近こそ、銀行も遅まきながら行動に移っております。

まだ、はっきり具体的な動きが、あるのかもしれませんけれども、私からみると、どうもまだないかなというのが運輸業界、今日皆さん方が所属する業界もそのひとつではないかなと理解しています。先程、物の流れがどんどん歪になっていく旨のお話をしましたが、この状態でコスト、採算を考えれば、本来は料金の高止まりしかないわけですけど、今、日本の市場がそんなこと許してはいません。低価格要求はこれからもますます強くなると思います。

で、そんな中にトラック料金というのは、基本的には小資本の業者をアンダーにすることで、成り立ってきているというか、正直そう思われます。企業は集中化を進め、物流コストは低価格を要求するという、こうした矛盾した環境というのは、これからも求められると思うんですね。で、この矛盾をどう解決するかという中に、この流通業界の生き残り戦略があると思います。大変厳しいものだと思います。

で、一方この業界の中で、先程先生のお話にもありましたけれど、クロネコヤマトさんなんかは、以前は宅配便というものについて、あるいはまた最近では郵便の取り込みを考えておるようですけど、運ぶことにどう付加価値をつけるかということに非常に苦心をされておる代表的企業さんではないかというふうに理解しております。過去の非常識を常識に変えることで発展してまいりました。裏返せば、これからは常識的な発想で仕事をする企業というのは生き残れないというか、もしくは発展はないのではと考えられます。で、荷主側というか、これは私が常日頃思っている、皆さんからみると非常識かもしれませんけれども申し上げてみたいと思います。

JR貨物さんにはまず期待するのは、路線の大幅見直しというか、要するにコア路線にもっと絞り込む必要があるんではないかと思います。大幅に門司の貨物なんかも変えるみたいですけれど、もっと貨物駅と呼ばれている拠点の整理や統合、それと柔軟かつスピィーディーな荷捌きシステムの確立が非常に急がないといけないんじゃないかなと。次に通運関係企業との、なんと言うんですか、共同で仕事をされているんですが、合併とはいいませんが、合同で改革に取り組むということがぜひ必要ではないかなと。

先程のコア路線を共同利用し、あるいは拠点の荷捌きシステム、企業の共同化の仕掛け作り、あるいは具体的にですね、異業種同士が路線を双方向で利用することで大幅なメリットもしくは競争力を享受できると、そんな環境をですね、業界全体で作り上げるということが今、急務ではないでしょうか。

顧客の意識を変えるという仕掛けが絶対に必要だと思います。そうでないとですね、日本の企業は全部集中化をします。そうするとローカルはますます苦しくなる。是非その辺の、企業をローカルに呼び戻す仕掛けというのは、僕は流通業界が担っているんじゃないかと理解しているわけです。ですから、是非、強い気持ちで今話しているわけですけれど、企業の呼水、誘致の導火線になる流通システムを是非ともこの業界が作り上げてほしいと強く思います。そのためには、台数の削減だとか、企業数の淘汰、今5万何社というか、それくらいの企業があるわけですけど、その淘汰、それから現実にこれをどうまとめていくかというのは、大変大きな問題ではありますけれど、是非クリアしてほしいと思います。もともと日本人というのは、司馬遼太郎さんの受け売りなんですけれど、なぜかロジスティクスというのを蔑ろにする民族なんですね。日清、日露、第二次世界大戦とすべて精神論を重視して、物資や弾薬の供給システムというのは本当におろそかにしています。ところが、欧米は常に戦略はロジスティクス優先で取り組んでおります。最近、グローバル化が急速に進んできまして、新宮のコストコ(Costoco)なんかもそうですが海外の流通業が必ず日本に進出してきた場合は、今までの日本の流通業にはない常識を必ず定着させているんです。ひとつはメーカーからの直送であったり、全く日本の流通がやってない売り方をとったりですね、あるいは土地や建物の取得をですね、非常に簡便というか、安く上げるような、そういう方法を必ず定着させ、ほとんど成功裡に進んでおります。本当に海外企業というのは、怖い存在になっておりまして、私共も最近は非常に脅威に感じております。

 

 

 

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