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パネルディスカッション

 

九州における鉄道貨物運送を考える(要旨)

 

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コーディネーター

九州産業大学商学部 教授

柴田一郎

(しばた・いちろう)氏

九州大学経済学部卒。北九州市役所、民間調査機関等を経て昭和54年から北九州大学産業社会研究所に勤務、同研究所長を最後に平成9年より現職。昭和8年生、福岡県出身、66歳。

 

柴田 ただ今ご紹介いただきました、九州産業大学の柴田でございます。早速ですが、ただいまからパネルディスカッションを開催いたしたいと思います。

これからの物流近代化にとって鉄道貨物輸送というのは極めて重要な位置にあり、特に地球環境への配慮という視点から見ても、これから益々重視されなければならない輸送モードであるということは、いうまでもないことだと思います。特に九州は南北2000キロの日本列島の一番南端に位置している。そういうことから、貨物輸送にしても区間距離が非常に長い。そういうことを考えれば、中・長距離で大量定形輸送、これを得意とする鉄道貨物輸送の需要は市場としても非常に大きいはずだし、全国の中でもJR貨物さんがもっとも力を発揮できる地域だと思います。

ところが、いろいろ統計を見てみますと、最近の景気低迷の中で貨物量が全体的に増えてないという背景もございますけれども、少なくとも1987年以降の10年間、見てみますとコンテナ貨物はそこそこ、やや伸びている感じで、ほとんど横ばいで推移していますが、車扱いの貨物が、石炭、セメントなどが大きく減ったという影響もあって、これがかなり落ちこんでいます。

そういうことを背景として、九州の鉄道貨物は、市場性、あるいは必要性がありながら、この10年間一貫してだんだんと減少傾向にある。九州における、貨物輸送の中で鉄道輸送が占める役割、効用というのは極めて大きいのに、フルにその力を発揮できなくて取扱量が減っている。それは何故なのか。どうすればJR貨物さんの機能をフルに発揮できるのか、そしてモーダルシフトの効果があがるのか、そういう視点で、そこらへんをこのパネルディスカッションで探ってみたいと思います。

幸いこの席には私を除きまして、鉄道貨物輸送に関連する業界のエキスパートがパネラーとしてご出席なさっていますので、きっと九州におけるこれからの鉄道貨物輸送再生の処方箋が見つかるのじゃないかと期待しております。

前置きはこれ位にしまして、今からパネルディスカッションを始めたいと思いますが、一応予定された時間が4時30分までで、もうすでに10分たっていますので、残る80分の中で十分議論が尽くせるかどうかわかりませんけれども、これからの進め方については、まず最初に出席なさっておられる4人のパネリストの皆さん方から、鉄道貨物輸送の現状あるいは問題点、さらには鉄道貨物輸送の問題解決にあたってのご提案等について10分程度でお話いただく、それがひととおり済みますと、ここで提起された問題点あるいは課題についてパネラー間で若干議論していただく。そして時間をみながら今日はフロアーにもそれぞれの専門家がたくさんお見えになっていますので、フロアーからもご意見・ご質問をお聞きし、お答えする。そういう形で進めていきたいと思います。

そういうことで、かなり時間が限られていますが、ひとつご協力よろしくお願いします。

 

 

 

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