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熊本都市圏と結ぶ未来型港湾…『夢咲島』 /熊本港

 

熊本港は、熊本県の中央部を貫流し、有明海に流入する白川と、緑川の間に挟まれた熊飽海岸の地先に、人工島形式による都市型港湾として整備が進められています。

本港周辺海域は、白川、緑川より運ばれた有明粘土が広範囲に堆積した超軟弱地盤でその厚さは50mにもおよび、かつ有明海特有の4.5mにも達する大潮位差があり、干潮時には沖合数キロまで干潟になるなど厳しい自然条件であるため、明治初期の調査では港の建設が断念され、三角港での築港が行われました。

しかし、新港建設に対する多方面からの要望に対し、産業流通港としての計画が策定され、昭和49年4月重要港湾の指定を受けて、周辺の干潟との共生も可能とした人工島形式での港湾建設が始まりました。

 

厳しい自然条件下での港湾建設にあたっては、最新の土木技術と創意工夫が不可欠であり、世界で初めての工法も実施されました。

「潜堤」は、海底にある有明海特有の軟らかい粘土、浮泥が船の通る航路に堆積し、浅くなるのを防ぐ逆T型のコンクリートブロック(高さ1〜1.5m)で、航路両側の海底に設置されています。

また、「軟弱地盤着底式防波堤」は、堤体を現地盤のうえにそのまま据付し、波の圧力には地中に打ち込んだ杭により抵抗する方式を採用して、建設コストの縮減を図り、壁体に開いた通水孔により海水交換も可能な環境に配慮した構造となっています。

そのほかにもいろいろな新技術が使われており、土木学会技術賞も受賞しています。

 

港の建設は、昭和54年に連絡橋工事に着手し、平成5年にはフェリー岸壁完成により供用を開始し、対岸の島原半島との間のフェリー輸送を中心に利用がなされてきましたが、平成11年6月には、岸壁(マイナス7.5m)が供用開始され、7月から釜山港とのコンテナ定期航路が開設されたことにより本格的な物流拠点への第一歩を歩き始めました。

さらに、地域輸入振興促進計画の関連施設として平成7年3月FAZ(輸入促進地域)に指定されており、くまもとファズ(株)により平成11年9月に熊本港物流センターが完成するとともに、市内と港を結ぶ幹線道路も供用を開始しており、百万人規模の背後圏人口を擁する熊本都市圏とアジアを結ぶ物流・人流の拠点として今後の発展が期待されています。

 

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熊本港全景

 

 

 

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