最後に4番目のテーマといたしまして、情報化時代、環境時代におけるトラック物流というのを書いております。
先程から何度も通信のお話をしましたけれども、私もこんなに劇的に携帯電話やインターネットが普及するとは予想もつきませんでした。まあ、普及するとは思っていましたが、こんなに速く世の中が変わっていくとは思いもしなかったわけでありまして。インターネット時代には宅配業者が伸びるだろうという話を5〜6年前からしていたわけでして、私のゼミ生で、そうですね、5〜6年前から「先生、私、ヤマト運輸に行きたい」というような学生が、今まで東京三菱銀行に行きたいというな学生はいくらでもいたんですけれども、野村證券にいきたいだとか、日本生命にいきたいという学生、たくさんいたんですけれど、ヤマト運輸に私はいきたいんですという学生が出始めたのは、やはり5年くらい前でしょうかね。新しいインターネット時代の物流というのが、小口配送の時代になって、おそらくそういうものが伸びてくるだろうと、学生も直感として感じているということだと思うんですが。
情報化時代の物流の体制は、間違いなく分散化時代に入ります。それの先駆けはやはり、「アスクル」というような会社で、小さい小口の単位なんだけれども、お菓子まで持ってきてくれる、今日飲むコーヒーの豆も持ってきてくれる、鉛筆一本持ってきてくれる。すぐに、すぐにじゃないですね、「アスクル」んですから。だから、「キョウクル」という会社を是非皆さん作っていただくと、インパクトあると思うんですけれど。すぐにやってくるということが、やはりポイントで、しかも小口でやってくる、もちろん、あるエリアの中はすぐ持ってきてくれるんですね。
ですから、地域の中の総合的な物流体制をどう構築していくのかと。で、情報化時代というのはおそらくまだ、日本では明確になっておりませんが、SOHOの時代に入って来ると、SOHOというのは、“small office home office”でありまして。小さなオフィス、パソコンだけがあるような、住宅の近くの、あるいは自分の自宅の中で仕事をする人たちが非常に増えてくる。要するに、オフィスが都心にあるんじゃなくて、農村まで含めてバラバラに点在していくということですね。そうすると、そこが仕事場なんですから、小さな小口の需要というのがたくさん、文書を運んでほしい、鉛筆が足りない、ノートが足りない、プリンターが故障した。多用な需要がバラバラとミクロ的に発生してくる。だから、それをどううまく効率的につないでいくかというのが地域の物流において求められてくるという気がするわけであります。
私自身もきちんとしたアイデアがあるわけじゃありませんが、一定のエリアの中を常に巡回するような、総合的統合されたようなロジスティクスというものが可能なんじゃないか。今はいろんなものがそれぞれの論理に応じて、ピザの宅配からすしの宅配から、自転車で郵便配達する人から、それから新聞配達のお兄ちゃんから、あるいは牛乳配達まで、いろんなものが自分の論理に基づいて、朝早くから夜遅くまでですね、いろんなものが多様に動いているんですが、一度全部統合して、地域の物流のあり方、考えてみたらどうなんだろう。ある所に全部集まって、朝6時の便、7時の便、8時の便、9時の便、10時の便、一日24時間、1時間おきにそのエリアをずっと回る。そこに持っていったら、必ずその地域の中をぐるぐる回っていて、郵便局の郵便物も当然それに乗ってくる。クリーニング屋に出した背広もその物流業者が運んでくれる。要するに、ビジネスのゾーン、生活のゾーンの中を全部、物流のロジスティクスの中に組み込んで、統合的に組み込んでしまうというような新しい地域モデルというようなものを考えてみてもいいんじゃないかなと、個人的には思っているわけであります。
そして、そういったものがきちんと動くかどうかというのは、これは新聞記事でありますが、1月25日に日本経済新聞で、私の実は親戚筋にあたるわけではない、ぜんぜん知らない人なんですけれども、山崎さんという方がですね、このPHSとインターネットを使いながら、どこに荷物があるか、これ、最初に申し上げましたマッチングなんですね。要するにどこにお客さんがいるのか、どこに自分のマーケットがあるかが、今までわからなかった。タクシー運転手さんがそうですよね。タクシー運転手、お客がいるかどうかわからないのに、流して流してね。お客が、私ここにいるんだけれど、誰もタクシー運転手見つけてくれない。だから、タクシー運転手とお客さんをマッチングさせる通信システムというのを考えると、何かビジネスになるような気がするんですけれど。不思議なもので、タクシー乗りたいなと思っていると3台くらい通り過ぎて、すぐ来るだろうと思っていたら何時までたっても来ない、なんてことがよくあるわけでありまして。非常に無駄な、マッチングするシステムが出来上がっていないということなんです。