実はどんどん、どんどん前工程に変っていったり、一貫工程に変っていったりしまして、アジアの工場と九州の工場が連携を始めたわけですね。
これもたいへんおもしろくてですね、物流が変わり始めた頃に、昔は束北のある工場とアジアのある工場がつながっていたものが、九州の工場の物流体制がいいということになると、九州の工場があるアジアの工場の母工場という形で、立ち上がっていきまして。だから、九州は生産量の比率はどんどん落ちるんですけれど、金額的な比率はずっと3割のままなんですね。昔は4割以上作っていて、金額では3割だったものが、今では生産も3割で金額も3割という、質が上がってきたという言い方も出来るし、国際物流の中で国際分業の体制に組み込まれて生き残ったという言い方も出来るわけであります。だから、物流のシステムを国際分業の中に地方も入れていかなければですね、ロジスティクスを国際化に対応できるような形にしていかないと、最終的な荷物を発生させてくれる生産業者そのものが淘汰されてしまうという可能性が出てきているということであります。だから、地域の発展を考えるときに、おそらくソーシャルロジスティクスといいましょうか、リージョナルロジスティクスといいましょうか、全体的なロジスティクスのあり方を、やはり生産業者を含めて、港の建設関係の人も含めて、トータルで考えていくということを是非考えなきゃいけませんし。
特にこれは南九州において、緊急の課題であるというふうに思うわけであります。実は一昨日、八代の方に行っておりまして。八代は港を今一生懸命、さらに拡幅しようとする努力をされておりますし、釜山便が入ったということで、貨物を集めるのに四苦八苦されているようでありますけれど。南、八代というのもひとつの考え方なのかな。鹿児島に怒られますよという話もありましたけれど。それから内貿だとやっぱり宮崎が便利なのかなという気もいたすわけであります。それを2つ組み合わせるということもあるのかなという気もするんですけれど。あんまり言うといけない気もしますので、この辺にとどめたいと思いますが。
やはり、南九州全体のあるべきソーシャルロジスティクスというものをですね、是非皆さん考えていっていただきたいというふうに思うわけであります。
今、沖縄県が大変元気であります。もちろん失業率はいまだに日本一、それから有効求人倍率も日本一悪い。それから一人あたり県民所得も日本一低い。だけれども、今工業出荷額の伸び率は全国一高いのが沖縄であります。だから、よく台湾の電子部品業界の方が直接中国に出せないんで、いったんメイドインジャパンにするために、沖縄に上げて、ちょっと加工して、そして中国に持っていくという中継貿易を、沖縄で出来ないかという話をされていましたけれど。私は沖縄はハイモビリティ条件が整備されると、地理的ロケーションから大きく変わってくるんじゃないかと、大きくといっても、もともと大きな県じゃありませんので、だけれども、非常に面白い存在になるんじゃないかという気がするわけであります。
航空運賃が下がりまして、着陸料を減免したことで、航空運賃、下がりまして、今日本で一番観光客が増えているのは沖縄になっております。通信料金が下がったということで、日本で一番コールセンターが増えているのも、沖縄であるわけであります。日本で一番工業出荷額が伸びているのも沖縄であります。もちろん、もともとたいした工業がありませんので、伸び率で見てもしょうがないといわれれば、それまでなんですが。ある意味で沖縄は基地と観光以外に何も考えられなかったものが、やはりモビリティ条件が変わってくると、沖縄の地理的ロケーションから新たな未来が見えてきたのかなという気がするわけですね。
そういう中で、やや南九州が一時期ほどの魅力がなくなっていると。魅力がなくなったというのは、高速道路がつながったという時の、あの時期のですね、どんどん企業立地が進んでいくという状況が、今なくなってしまいまして、再び北部九州、せいぜい熊本の真中ぐらいまでに工場立地が限定されてしまってきている気がするわけです。特に大分県あたりに自動車産業の集中が始まっておりまして、南九州の方に企業立地が進まないという状況になりつつあると。やはりこれはモビリティ条件を改善していくということが必要なんじゃないかなという気がいたすわけであります。