昨日、実は中枢国際港湾シンポジウムというのを、博多の方でやっておりまして、ある方がソーシャルロジスティクスという言葉をおっしゃいましたけれど、これを言い換えればリージョナルロジスティクスと言ってもいいんじゃないかと私は申し上げたんであります。今までのロジスティクスというのは企業の中で、確かに物を、出来た製品をどうやって運ぶかという物流というだけではなくて、運ぶという問題が当然、トータルとしての生産の合理化、生産の日程と物の流れの日程を調整しなければいけません。あるいは、非常に技術開発が激しい場合には製品の開発と生産と物の流れと、これを一体に考えなきゃいけないという意味で、非常にロジスティクス、物流の観点かどんどん、どんどん生産とか、開発だとか、販売だとか、広告だとか、そういう部分まで横に、横に膨らんできたというのが、おそらくビジネスロジスティクスの考え方ではないのかなと思うんです。
問題は企業の中だけでロジスティクスが完結しているわけではなくて、地域全体として最適なロジスティクスを構成する、ということを考えていかなきゃいけない時代にきているんじゃないかなと思うわけです。それは2番目のハイモビリティ都市なんかもそうなんですが、とりあえずは社会資本として、本当に道路や港湾、空港、高速道路、こういったものがきちんとシームレスに、連続して、渋滞もなくスムーズに流れるんですか、ということが求められていくでしょうし。せっかく作った社会資本をですね、使いこなさないような、変な物流体制ではなくて、きちんとあるものは、それを使いこなしていくというロジスティクスが求められていくんじゃないか。今まで運ぶ人は運ぶことだけ、港を作ってる人は港を作ることだけ、そして工場を建設して生産する人は、生産の次元の事だけしか知らない、あとはどなたか業者さんに運んでもらう。あるいは港をどう使うかということは、港の業者さんの勝手なというか、夫々の思惑でやってきた。ところが、トータルで考えてみると、地域の社会資本、うまく使いこなすということは大変コストを削減する上において、大きな意味を持つということだろうと思うんですね。
これはちょっと航空貨物になってしまいますが、半導体産業の製品であるICが、飛行機で運ばれないというふうに申し上げましたけれど、これは国内の話でありまして、国際的にはもちろん日本の場合は、船か飛行機で運ぶしかないわけですね。九州には3割から3割5分位の半導体の生産量の拠点が集まってきてるわけですが。そのかなりの部分が、今、福岡空港からアジアに向けて運ばれるようになってきております。
ところが、これ、7〜8年前はほとんど福岡空港、使っていなかったわけですね。福岡空港にアジア便があるのはわかっているんだけど、物流のシステムとしてみると、やっぱり成田空港に運ぶという今までの感性が、身体に染み付いた感性があるから、目の前から毎日シンガポール便飛んでいるのに、シンガポールに運ぶのにわざわざ成田まで運んでいってですね、そこから運んでいた。
ある時、一番最初は確かNECだったと思いますが、ちょっと待てよ、熊本のNEC、目の前に空港があって飛んでるのに、使ってみたら安いんじゃないかと。使ってみたら、これ、やっぱり安いわと。じゃあ広島のNECも福岡空港出しにするかということで、一気にNECが福岡空港出しにすると、統計おもしろいんですね。ある年からぐっと、福岡空港の半導体、要するに貿易額がぐっとあがるんです。ある時、東芝も変えちゃった、ぐっとあがるんですね。今では使ってないのは、熊本の三菱電器だけですね、調査したところ。ほかはみんな福岡空港を使っている。だから、九州は3割から3割5分位の生産をしていますが、福岡空港は日本の半導体輸出の今、15%位、空港でですね、までを占めるまでになっています。だから地域の社会資本を活用することはよくよく考えたら、福岡を使うことによって九州全体の半導体工場の、国際分業の体制まで変っていったということなんです。
一時期、アジアに半導体の後工程といわれる労働集約的な工程が出て行く時代がありまして、九州は後工程が多かったもんですから、九州の半導体はいずれ消滅するんじゃないかという危機感もありましたけれど。