ですから、交通の結節点、空港のある所、こういった所が地域として伸びているということは、いかに企業がそういう所に拠点を求めたいという意欲が強いのかということの現れであります。私たちが立地論だとか、そういうことを若い頃勉強してきた時には、港を活用するだとかですね、トラックを使うという話で物流を考えて、それによって物流コストがいかに安いエリアがあるのかと、それが立地に大きな影響を与えるということを習ってきたわけでありますが。
飛行機というものが大きな影響を持つようになってきた。テクノポリスの議論の時に半導体は軽くて、小さくて飛行機で運ばれると。私の息子が今、中学1年生でちょうど九州のところを見ると、空港の近くには何の工場がありますか、半導体工場、その理由は、軽くて値段が高くて飛行機で運べるから。ちがうんですね、答えとしては。実は飛行機で運んでないんですね、半導体は。これも大分前に調べました。最初使ってみたら、やっぱり高いということで、宅配便等がかなり使われていると。じゃあ、何のために空港の近くにいるのかというと、これは人の移動でありまして。技術者が頻繁に移動しやすい所にやはり、工場が立地するようになっている。だから、工場というのは、昔は物の移動を念頭に立地を決めていたんだけれど、今や物の移動以上にコストのかかる、移動費用のかかる人の移動の、スピードの速い所に立地を進めているということであります。
諌早は今ソニーのプレイステーション用の半導体の生産で非常に活況を呈しているということであります。ですから、地域の開発を考える時にも、この人の流れ、物の流れをどうスムーズにしていくかということを真剣に考えなくてはいけないということで、3番目のですね。地域の発展と物流という所に入りたいと思うわけでありますが。
先程から何度も申し上げていますように、物の流れをどういうふうにスムーズにしていくかということは地域の発展に大きく関わっています。そして、一番最初にお話ししたように、これから物の流れが変わるだろうという事をいくつかお話ししましたけれども。ここであえて、もうひとつお話ししていかなきゃいけないことは、輸入時代が到来しているということですね。輸入貨物が非常に増える。貨物の中身が変ってくる。今までのように石油や石炭や鉄鉱石のような、そういったどんがらの大きな、重量の大きな物が入ってくるんじゃなくて、製品が入ってくるということですね。輸入時代におきましては、出来るだけマーケットに近い所に降ろしたいという要望が非常に強くなっている。
だから、この数年、日本の港湾のコンテナの動向を見ていて、私の予想を覆したというか、大変びっくりしたのは東京港の貨物が非常に増えているということですね。横浜港の貨物が減っているにもかかわらず、東京港の貨物が増えているということなんです。これはよく考えますと、北九州港の貨物が伸び悩んでいるのに、博多港が伸びているのとほとんど同じ構図と思っていいと思うんですね。
すなわち、今までは日本経済は輸出体質であったと、だから輸出港に輸入する貨物が入ってくる。輸出貨物のある所に輸入貨物が入ってくる。ところが、今や輸入中心になっている。輸入の方が重量物なんですね。輸出するのは、日本の場合は、家電製品の、しかも小さくて軽いような物になっていきますので、そんなに重量があるもんじゃない。だから、出来るだけ輸入の物流コストを下げるためには、出来るだけ都心の近い所に、神戸港よりは大阪港、はっきりとは出てきていませんけれども、関西の場合は。それでもやはり、神戸港がいつまでたっても震災前の水準に戻らないで、大阪港はじわじわっと増えている雰囲気が、やはり大阪でもですね、東京と横浜の関係ほどではありませんけれども、やはり見られます。
九州でいえば、北九州港と博多港の力関係で輸入中心の時代には博多に入ってくる。そして、輸入が入ってくるから、また輸出も集まるという、この逆転現象が起こっているという事であります。ですから、物の流れというものがかなり港との連結という意味合いを持ってくる。いろんな工業製品が港を通じて輸入という形で入ってくるということがあるんだと、いうことであります。
そして地域の発展と物流を考える時に、いまひとつ考えておかなければいけないことは、実際に荷物を発生させる荷主さんをですね、どうやってそこの地域に呼んできて、そしてそういう人達が地域のインフラと業者さんを使って、効率的な物流が築けるかというトータルな地域全体のロジスティックスを考えるということであります。