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九州には39の都市圏が、この定義によりますとあるということになってるんです。39ある都市圏の中で1995年から2010年にかけまして、人口が増えていく都市圏は約4分の1の10都市圏であります。ここに掲げてある都市圏が、人口が2010年までの間に、95年と比較してですね、途中ですでに頭打ちになるところもあるはずですけど、1995年と2010年の比較において人口が伸びるといわれている所であります。

最も人口が増加する都市圏はどこなのか。これは授業の最初に学生に必ず質問して、これがわかったら10点、前期試験、10点おまけするよというんですけど、学生で当てたことがないんですね、一度もないんですよ。実は昨年、放送大学の非常勤で、土日集中講義にいきましたら、さすがに社会人の方で、「先生、国分ですね」といって、当てられたのには本当にびっくりしました。九州で最も人口増加率が高いのは、国分都市圏です。福岡ではないわけです。これは伸び率ですからね、絶対的に何万人増えるかといわれれば、もちろん福岡なんですが。第一位は実は、国分都市圏であるわけです。

国分とはなんぞやと、昔は地理のテストであれば、たばこと書いとけば合格だったんでしょうが。今は鹿児島空港、あるいはテクノポリス、あるいは京セラ、ソニー国分、そういったものを書かないとですね、点数にならないわけであります。当然ここはテクノポリスに指定されて空港に近い臨空都市である。そこが九州で最も人口増加率の高いエリアになっているということなんです。2番目が福岡都市圏。これは皆さんご存知のように、今日も日経で佐賀支局の日経の記者がですね、佐賀空港を使わせたいがためかわかりませんけれども、佐賀空港も使ってよ的な、福岡は便利すぎるから潰しちゃもったいないというような事を書いておりましたけれど。この福岡というのは空港の利便性が高い、港湾が都心に近い、新幹線も来てる、今地下鉄の3号線の工事が進んでいる。都市高速道路と高速道路がつながってしまった。いわゆるハイモビリティ、日本の中でも極めてハイモビリティ条件が満たされている都市であるわけですね。

私はシンガポールと福岡を時々比較して、もちろん比較するようなレベルではないんですけれども、やや似ている、即ち福岡都市圏は、今5%通勤圏までとりますと、300万人をようやく越えたようであります。すなわちシンガポールも300万人なんですけれどね、ちょっと面積的に広くなりましたけれど、福岡都市圏の方が。そして空港が利便性が高くて、港のコンテナ貨物がどうやら昨年は40万を越えたのではないかと、外貿コンテナがですね。おととしが32〜33万でしたから、いきなり40万になって、どうも北九州港を越えたんじゃないかと。要するに神戸から西の最大の外貿コンテナ港湾は博多港に、昨年なったようであります。おそらくこの勢いは止まらないのではないかなという気がいたすわけで。15年前の博多港というのは、たしか1万5千個とか2万個位しか扱っていなかった港湾がですね、今や40万個という数字を実現するまでにいたったわけであります。

それからビートル二世が就航いたしまして、釜山と博多の間、2時間55分で結ぶ、これによりまして博多港は日本一の国際旅客港になっている。もちろんアジア向けの国際的な路線も多いというようなことがありまして、それがやはりビジネス環境として、非常にやりやすいビジネス環境になっているということであります。

あんまり会社名言いたくないんでありますけれども、支店の配置の分析をちょっとしたことがあるんですが、普通は福岡に北部九州担当というんでしょうかね、九州支社であったり、福岡支社であったり置かれまして、南の方は熊本というケースもありますが、主として鹿児島に南九州担当の支店が置かれることがあるんですが。

ある企業の北部九州担当の支店が天神にありまして、南九州支店が博多駅にあるという会社がありまして。最初びっくりしたんですが、よく考えたら確かに博多駅にあったら、熊本に行くには1時間18分ですね、博多駅にあったら福岡空港まで5分ですから、鹿児島まで行くのも簡単、宮崎までも30分で行ける。鹿児島支店にいたら、熊本まで何時間かかるのか、宮崎まで何時間かかるのか、考えたら南九州支店は博多駅に置いておくのがいいのかなと、確かにそれもひとつのハイモビリティ時代の考え方なのかと、びっくりしたことがあるわけであります。

地域でハイモビリティ条件を確保するということがいかに大事かということなんですね。正直言いまして、北の方は福岡が圧倒的に物を運ぶ点においても、博多港の方が北九州港をコンテナでは上回って、航空関係では福岡空港がだんとつでありますし、これはもう致し方ないというか、はっきり拠点性が出てきたんです。

南がどこが拠点なのかがよくわからないわけでありまして。これがやはり南九州のハイモビリティを考える時の大問題になっているんじゃないかなという気がするわけですね。国内の物流でいえば圧倒的に宮崎でしょうか。宮崎港、東京に一番近い。鹿児島空港は非常に都心から遠いと、国分に対してはものすごくインパクトがあるんですけれども、鹿児島市、あるいは鹿児島を越えた熊本、宮崎に対する影響力というのはどうなのかなと。港は、ちょっと外貿についてはどこが南の拠点なのかがよくわからないという状況になってる。ですから、何とか南のハイモビリティの姿をきちんと描かなきゃいけないんじゃないかなというのを、常々考えているわけなんですが、非常に難しくなっているわけであります。

 

 

 

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