ところが、重量物は運ばないんだけれども、軽くて小さ宅配便のように、非常にミクロな需要が爆発的に増えてくるというのが、おそらく新しい資本主義の情報化社会の中の流れだろうと、もうそれは既に、世界的な流れとして起こっているわけですね。だから今まで物流をはかる時にすぐに何トンですかということで、あるいはトンキロメートルですかということで、トンで計っていたんですが。そういう話は「とんでもない」話になりつつありまして、トンではない、個数でみますと大きな変化が起こっている。
皆さんのお手元に、今日私も初めて拝見したんですが、企業物流とトラック輸送というのが配られていると思いますが、これの36ページを先程見ておりまして、ほとんどトン数では増えていない、貨物の総量としてトン数が増えていくということはおそらくないと思いますし、むしろ減っていくだろうと思われるわけです。それはもういろんな理由で公共事業等が減るということもありますし、それから日本で作ったもので海外に出すものはどんどん小さく、軽くなってきております。要するに海外からの輸入も非常に増えてきておりますので、素材の原料になるようなものもあまり運ばなくなってくると思うんですね。そうなってくるとトン数ではおそらく、これから景気が仮に良くなっても、とんとんか、長期的には減っていくと考えておいた方がいいと思うんです。トラックの宅配便の取り扱い個数を見ていただきますとわかるように、こういった小口の取り扱い個数というのは非常に増えていく。ますます、情報化社会の中で増えていく。こういったものを瞬時に、必要な時に必要な場所に運べるシステムを作れるかどうかということが、日本の経済発展あるいは地域の経済発展に大きな影響を与えるようになるという意味で、物流のあり方を変えていかなければならない、ということが日本の資本主義の中でおそらく出てきているんじゃないかという気がいたすわけであります。
2番目にハイモビリティ都市、臨空都市の成長というものを書いております。これはハイモビリティという言葉はあまり使われていないようでありますけれど、私が東洋経済から一昨年出しました本の、副題の中でハイモビリティ都市という言葉を使っています。非常にスピーディに動ける地域、都市の成長率が全世界的にみても、あるいは九州の中でみても非常に高いということなんです。
世界の中で最もハイモビリティ都市はどこかといわれたら、やはりシンガポールということになるんでしょう。シンガポールの空港、シンガポールの世界一位になったコンテナ取り扱い、もう2000万個近いというふうに聞いています。人口300万人の国で、日本全体が扱う、1億2000万人を超える国の個数を上回っているという、わずか300万人の国家がですね。そしてシンガポールのチャンギ空港、非常に利便性が高い。シンガポールの中は鉄道が縦横無尽に走っている。一国全体が全部、携帯電話、どこにいても繋がる。それは淡路島程度しかありませんから。携帯電話が先程、鹿児島の山の方に行きますと繋がらないということ、何人かの方がおっしゃっていました。シンガポールでは国内で携帯電話の繋がらない所はないわけでありまして。通信面、航空、港湾、陸上交通すべてハイモビリティを満たしている。非常に世界的に企業誘致において成功する地域になっているということであります。
それから地域の開発を考える場合に、ハイモビリティが確保できるかどうかということが、大変重要であるということです。たまたま統計がありましたので、持って参りましたけれど、これは九州経済調査協会が推計した入口の伸ぴ率、これは都市圏ですからやや広い、たしか10%通勤圏でとりました都市圏の人口増加率であります。