2) 主要品目
北海道は九州と四国を合わせたほどの面積を持つが、人口はわが国の5%しかなく、工場もあまり立地していないため、あらゆるものが北海道へ輸送されることとなり、下り貨物の品目構成は非常に多岐にわたっている。また、いわゆる雑貨に加え、道内販売向けの商品車もかなり対象航路を利用して輸送されている。
上りについては、北海道が米、いもをはじめわが国の農産品の一大産地となっていることから、農作物が中心であり、6月末に出始める葉もの、7月の大根、秋口からのじゃがいも、たまねぎ、米などが主要品目であり、5月頃まで継続的に貨物があるが、秋冬繁忙期とそれ以外の季節変動がある。このほか、乳製品(バター、チーズ等)、プラント機材、建材、紙製品などの輸送にも利用されているが、このうち紙製品については、大手製紙会社の貨物をベースカーゴとする12mシャーシ128台積載可能な大型RORO船が1999年12月に対象航路と同区間に就航したため、対象航路の利用は減少している。
対象航路は他の海上輸送と比較して所要時間が短く、付加価値の高い航路であるが、時間短縮ニーズの強い生鮮食料品のほか、一般には時間よりもコストが優先されるプラント機材や建材等も、トラック事業者が車両の回転率を高める観点から利用している。
3) 消席率
消席率は80%程度であるが、祝日や木曜日(土曜日配送貨物)の貨物が少ないことが、消席率向上のための課題となっている。
4) 無人航送率
対象航路では無人航送率が非常に高く、これまで貨物フェリーの旅客定員である12人の船室が満室となったことはほとんどないことから、大部分が無人航送と考えられる。
なお、大洗〜苫小牧・室蘭間の長距離フェリー航路における無人航送率は、対象航路よりやや低く、3割程度が有人トラックとみられている。また、青函航路、八戸〜苫小牧航路などの短距離フェリー航路については、ほとんどが有人で利用されている。
2] 超高速フェリー導入による特積みトラックの利用転換
特積みトラックについては、超高速フェリー導入前はトラックによる陸送(八戸〜苫小牧、青森〜函館等のフェリーを利用)および鉄道が主に利用されていた。
鉄道についてみると、JR貨物には、3065列車という隅田川駅0時20分発、札幌貨物ターミナル駅翌日21時22分着(苫小牧駅着同20時11分)のコンテナ列車があり(表4-1-5参照)、東京〜札幌間ではこれが優等列車として主に利用されている。
一方、対象航路の東京港発は23時45分、苫小牧港着は翌日20時15分であるが、鉄道の場合、発駅での貨物の〆切は発車時刻の約1時間前となることから、両者はほぼ同等の輸送スケジュールとなっている。
超高速フェリーの導入後、特積みトラックのJR貨物利用からフェリー利用への転換が進展し、前述のように全体の約3割を特積みトラックが占めるに至っている。