3] 特積みトラック事業者における対象航路の利用状況と輸送手段選択の考え方
ここでは、宅配便をはじめとする混載貨物を取り扱う特積みトラック事業者A社の例に基づいて、対象航路の利用状況と輸送手段選択の考え方を整理する。
1) 首都圏〜北海道における輸送手段・ルート別輸送実態
A社の首都圏〜北海道における輸送手段別の幹線輸送の状況は以下のとおりである。
東京〜東京港〜 (超高速フェリー) 〜苫小牧港〜千歳:トレーラー3台/日
東京〜青森港・八戸港〜(フェリー)〜函館港・苫小牧港〜千歳:トラック3台/日
東京〜隅田川駅〜 (鉄道) 〜苫小牧駅〜千歳:40トン/日
上記のように、船社と契約して毎日トレーラー3台のスペースを確保し、定常的にフェリーを利用している。
道内への輸送は千歳が拠点となっており、超高速フェリーで到着した貨物を方面別に仕分けし、道内発の貨物と混載して道内各地へ輸送する。フェリーの苫小牧港到着が20時15分で、千歳ベースには21時40分頃到着するため、道内発送に間に合うスケジュールとなっているが、時間的余裕がないことから、最後に船積みして最初に卸す「後入れ先出し」をしてもらうように依頼している。
東京からの陸送トラック(通常3台、繁忙期には増車)は、上記フェリー利用分の東京出港に間に合わなかった貨物を拾って後から出発し、青森港か八戸港からフェリーを利用する。所要時間は超高速フェリーより短く、ほぼ同じ時間帯に到着する。千歳で貨物の積み卸しをした後、そのまま道北・道東まで運行する。千歳では、東京からのフェリー便で着荷し道内向け各便に積みきれなかった貨物があれば、東京発の陸送トラック便に積み合わせる。
2) 長距離幹線輸送の輸送手段選択の考え方および上記区間における輸送手段選択理由
東京〜苫小牧航路の超高速フェリーについては、以下の各点が選択理由である。
・苫小牧港の立地がよいこと
(太平洋に面し、関東からの航路距離が短く、人口・諸機能の集中する札幌に近接)
・ダイヤが利用しやすいこと
・運航開始後約1年間で、欠航がタービン故障による2回しかなく信頼性が高いこと
・運賃水準も魅力的であること
・東京側の発着地(有明フェリー埠頭)が、特積みトラック事業者の拠点に近いこと
輸送手段選択の考え方として、北海道や九州のような長距離輸送は、環境問題や事故のリスクなどを考慮すると、基本的にはトラックを走らせたくないと考えられている。現状は陸送が中心ではあるが、長距離輸送の90%以上が傭車となっている。