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【特積みトラック事業者の幹線輸送の概要】(T社)

特積み貨物のフェリー利用は難しい。宮崎からの関東方面については、上りは利用可能性もあるが、実際に使うとなれば、運転手の運用について検討しなければならない。4日1運用となれば人員が多く必要となるので、コストの増加要因となる。下りは鳥栖中継の体制となるので、無人航送は考えにくい。フェリーは、定常的に利用する契約をしないと運賃の割引率が低く、コスト面でのメリットが出にくい。

 

【総合物流業者(特積みトラック部門)の幹線輸送の概要】(N社)

路線便、宅配便はスピードが最優先され、海上輸送の利用拡大については、高速化が先ず重要と考える。むしろ単価は低いがロットの大きい区域トラックの貨物の方が適していると考えられる。南九州の拠点となれるかがポイントである。

モーダルシフトの観点からも、輸送モードとしての海上輸送の重要性は高まっている。荷主は、輸送コスト、スピード、定時性といった条件のバランスの中で輸送モードを選択することになるので、直ちに促進することは難しいだろうが、少なくとも鉄道との比較においては安定性が高いことから、利用が拡大する可能性があると考える。

 

また、スピードリミッターの装着義務付けにより、農産物の出荷においては、現行の輸送体制のままでは、4日目販売とするか、翌々日(3日目)販売を維持するためにトラックをツーマン運行(2名乗車)とする必要が生じると考えられる。また、このスケジュールでワンマン運行する場合、労働条件の面でも問題と考えられる。

農産物の輸送を行っている県内トラック事業者では、スピードリミッター装着の義務付け後、現行の翌々日販売を維持するための方向として、1]出発時間の繰り上げ、2]海上輸送の利用、3]産地側もしくは消費地側での物流センターにおける貨物の集約化、の3つがあげられている。2]について、東京〜宮崎間における全線高速利用の場合のリードタイムは、宮崎〜大阪間あるいは宮崎〜川崎間でフェリーを利用した場合とほぼ同等であることから、海運利用は、スピードリミッター装着義務付けに対する有効な方策になり得る。

 

【スピードリミッター装着義務付けへの対応方向】(U社)

・関東向け農産物輸送におけるスピードリミッター装着義務付けへの対策としては、1]出発時間を早める、2]フェリーを利用する、3]複数の市場に配送しないで済むよう、宮崎県内の集配センターで卸売市場毎に仕分けて集約する、などが考えられる。

・2]のフェリー利用については、現在の川崎港着のダイヤで、市場の〆切時間まで8時間程度あるにもかかわらず、複数の市場への配送には間に合わないケースがある。大阪までのフェリー利用であれば、東京周辺に加え、長野・山梨など向けも積み合わせることが可能である。また、フェリーに欠航日の多い点も問題である。

・3]は、関東側で仕分ける方法もあるが、経済連等の荷主側がそれだけの投資をできるかが問題である。青果は天候に出荷量が左右される上、少ないのも問題だが、多すぎると価格低下となり、出荷量の調整が難しい。

・全体から見れば取扱量は少ないが、東京周辺の複数の市場向けの配送を行う民間企業も存在し、10〜20個程度の小口貨物については、そこに配送を委託している。

 

 

 

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